第478話初音の暗い所

 ご飯を食べ終わった後、私は天銀を洗面所に呼び出した。

 目的はもちろん、そーくんの下着をもらうために。


「ねぇ、早く、他の男といるところなんてそーくんに見られたくないんだから」


「は、はい・・・」


 天銀は恭しくそーくんの下着を出した。


「っ・・・!」


 私は喜んでその下着の匂いも嗅ぐも────洗剤の匂い。


「ねぇ、これそーくんがまだ履いてない下着?」


「そうですが・・・?」


「・・・はぁ」


 私は一つため息をつく。本当にどうしようもない。

 下着をもらう上でなんで洗濯されたそーくんの匂いがしないやつをもらったんだろ、仮にも頭良い感じの雰囲気出してるならそのぐらいわからないかな・・・


「あのね、そーくんの今履いてる下着を貰ってきて」


「い、今ですか・・・」


「じゃないと意味ないでしょ?私はそーくんの脱ぎたてがいいの」


 ちょっと前までは洗濯する際にそーくんの脱ぎたてを堪能できてたけど、今となってはウイルスや霧響ちゃんがいるからそーくんの脱ぎたてを堪能できない。


「脱ぎたてとなると、どういう口実でも貰える気が────」


 私は天銀に殺意すら込めて言う。


「今、ここでそーくん以外の男と話してるだけで私にとってはリスクなの、もし今ここにそーくんが来たら私が浮気を疑われてそーくんに「浮気女」なんて言われるかもしれない、もしそうなったらどう責任とってくれるの?こんなにリスクを負った行動して見返りもないなんて言わないよね?」


「・・・善処します」


 天銀がいなくなった洗面所で、私はため息混じりに呟く。


「・・・はぁ、こんなの普通言わなくてもわかるでしょ・・・」


 ほんっと、そーくん以外の男なんて、他の女がそーくん以外の男に目を向けさせるための装置にしかならないけど、その装置があるからそーくんに言い寄ってくるやつが少なく済んでる・・・でも。


「そろそろそーくんにもしっかりしてもらわないと」


 私だけじゃなくて、そーくんもせめて自分を守れるぐらいの力は身に付けてもらわないと私が心配で先に死んじゃう。

 私が死んだらそーくんの死ぬし、そーくんが死んだら私も死ぬ。

 そうやって一緒に死ぬことで、来世でも永遠にそーくんと愛を育める。


「・・・そろそろそーくんとの初めてを真剣に計画しないとね・・・❤︎」


 私は未来を見据えて計画を頭の中でまとめることにした。

 ・・・はぁ、初めての時そーくんはどんな顔でどんな気持ちでどんな反応でどんな声でどんな鼓動を聴かせてくれるんだろ・・・本当に楽しみ❤︎

 私は天銀から一応は渡されたそーくんのまだ履いていない下着に、私の血を少しだけつけることでそーくんのアレに私の血が少量付着するようにした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る