第476話霧響の弱点
そう、久しぶりに会った時ぐらいにも霧響のこの弱点を突いて俺は窮地を逃れた・・・その弱点は。
「霧響は可愛いな」
「・・・え?」
妹だから普通よりは恥ずかしがる必要がないのが楽だ、このまま`押し切って`しまおう。霧響は褒める系の押しに非常に弱い。
「本当に美人すぎるなー」
「そっ!それなら・・・婚約の方は了承していただいたと言うことでよろしいんでしょうかっ!」
できるだけ平静を保とうとはしているも、霧響の顔はかなり赤くなっている。
「いやいや!霧響は美人だから俺なんかとは釣り合わない」
「び、美人・・・お兄様が、私を・・・美人・・・!」
霧響は一人事をぶつぶつと呟いている。
普段俺は基本的に霧響の外見を褒めたりしないため、そのせいもあってかダメージは大きいみたいだ。
ならこれを毎回すればいいのではと考えてしまいそうにもなるけど、それは悪手だ。
褒め言葉は言えば言うほど価値が落ちてしまい、言い過ぎるとその言葉が軽くなってしまう・・・と昔霧響と同じように初音も褒めたら初音が俺に浮気をしたのかと疑ってきた時もなんとかなるのかと思ったけど失敗したときに初音に言われた言葉だ。
「で、でしたら・・・!私と婚約していただけるということでよろしいですか?」
霧響はさっきまであんなに饒舌に喋っていたのに、なぜか照れながら言う。
・・・が、俺は婚約をするとは口に出せない。
「い、いや、美人だからこそ俺とは釣り合ってないんだ」
「び、美人・・・!い、いえ!そんなことはありません!お兄様と釣り合うのは私だけです!婚約してください!」
今の霧響からはいつもの冷静さのかけらも存在しない。なら・・・ここは少し人肌脱ごう。
そうだ、窮地を脱するためには俺だって頑張らなくてはならない。
俺は霧響の頭に手を置き、撫でながら言う。
「き、霧響がこんなに美人でいてくれて俺は嬉しい」
「あ、あぁ、お兄様の手が・・・それにまた美人と言ってくださったぁ・・・!」
霧響はソファーに倒れるようにして雪崩れ込んだ。
「・・・ほっ」
なんかここ最近で久しぶりに自分の思惑通りに物事が進んだような気がするな、いつもは何かしてもそれがから回る結果になることが多かったからな・・・ま、俺も成長してるってことだな。
「せんぱ〜い、ご飯できましたよ〜」
「あ、わかった」
俺とあゆが少しの間リビングのテーブルで雑談をしながら初音たちを待っていると、疲れ切った様子の天銀が出てきた。
「あ、天銀、どうなったんだ?」
「あ、最王子くん・・・い、いきなりですが、少し洗面所に来てもらってもいいですか?」
「え、あぁ、別にいいけど」
俺は天銀と一緒に洗面所に向かった。
「こんなところに呼び出して、どうしたんだ?」
「・・・最王子くんの下着を下さい」
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