第472話寝惚ける結愛
「・・・ん」
手に柔らかい感触だ・・・いや、柔らかいというより触り心地が良いというか、弾力があるというか、気持ちいい感触だ。
・・・ま、まさかまたも初音が?いや、でも初音にしてはなんていうか・・・
俺は疑問に思いながら、目を開け、感触のある右側に目を向けるとそこには────結愛がいた。
「な、ななななんで結愛が!?」
た、確かに初音にしてはちょっと大きいというかなんというかと思ったけどそれにしたって初音が俺の部屋に結愛が入ることを見逃したのか・・・?
いや、それはかなり考えずらい───ん?
「な、なんだあれ・・・」
俺の部屋のドアに大きな釘で鉄板が打ち付けられており、良い感じにドアノブが固定されている。
しかもドアの枠取りも固定されてしまっているため、外から開けることは壁を開けるか爆破でもしないと不可能だと思われる。
「・・・つまり?」
結愛が俺と一緒に寝たいがために夜のうちに対策を打ってたってことか・・・っていうことは?
「そーくん!!大丈夫!?そーくん!!」
部屋の外からずっと初音の声が聞こえてくる。・・・やっぱりそういう状況になってるよな・・・
俺の部屋のテーブルには非常食と思われるものが大量に置かれていた、立て篭もる準備も万端ということか・・・とりあえず結愛を起こそう。
「ゆ、結愛?」
「・・・ん〜、そーちゃん?」
可愛いらしい桃色のパジャマを着た結愛が、俺に抱きつきながら起き上がった。
「わぁ、そーちゃんだ〜」
結愛が子供のように俺の頬を引っ張ったりした後、さらに俺を強く抱きしめた。・・・そういえば最近は結愛と一緒に寝る機会なんてなかったから忘れてたけど結愛はごく稀に朝起きた時の寝ぼけがすごい時がある。
声だけ聞いてもいつもとは全然違う。
いや、それよりも・・・
「ちょ、ゆ、結愛、あ、当たってる・・・」
「何がかなー?」
ここで寝ぼけながらそんな小悪魔みたいなことを言ってくるのは本当に酷いと思う。
「む、胸が当たってるんだ・・・」
「これは当たってるんじゃなくて当ててるの〜」
「当てるな!」
俺は結愛のことを引き剥がそうとするも、相変わらずの力で俺は一向に結愛のことを引き剥がすことができない。
「ゆ、結愛、寝惚けるのも良い加減に────うわぁっ!」
結愛を引き剥がそうと両手で結愛の背中を引き剥がそうとしていると、体勢を崩してしまい、まるで俺が抱きついてるような形で結愛が下、俺が上になってしまった。
・・・この体勢はまずい・・・
「・・・いいよ、そーちゃん❤︎」
結愛はどうやら今の衝撃で眠気がなくなったみたいだ。・・・だが。
「俺にそんなつもりは─────」
`ドドドドドドドドドドッ`
「・・・そーくん」
・・・昨日も似たようなことがあったような、って、そんなことを言ってる場合じゃない、昨日のことでさえ危なかったのに、連日浮気を疑われるようなことになったら・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます