第470話霧響の結婚論
「こ、婚約って・・・」
「もちろん白雪さんとは別れてもらった上で、です」
「・・・・・・」
ま、まずいことになったな・・・これは所謂`詰み`というやつだ・・・何をしても絶対に俺の命に関わる。
例えば俺がこのまま霧響の言う通りにしたとしても、その場合は初音に間違いなく殺されるし逆に霧響の言うことを無視した場合も結局霧響が初音に、俺が霧響に気持ちよくされてる音声を聞かせられたらそれこそ初音に殺されてしまう。
どの選択肢をとっても初音に殺される・・・
「白雪さんに別れを切り出すのが怖いと言うのなら、私が絶対にお守りします」
「そ、そうじゃないけど・・・」
「では白雪さんにこの音声を聞いていただいた方がよろしいですか?」
「・・・・・・」
本当に詰みだ、ここからどうやっても活路を見出せない。
「お兄様・・・私はお兄様と2人で幸せになりたいだけなんです、お兄様がそれさえ認めてくだされば私は何も怖いことはしません」
「そういう問題じゃない・・・」
「・・・そうですか、そんな意地悪をするのであれば・・・『霧響・・・っぁ、も、もう、我慢が・・・で、出────あっ・・・』というのをお兄様に一日中お聞かせしてから白雪さんにもこの音声を流すことになりますが?』
「・・・・・・」
霧響はその音声を流しながら言った。
「そ、それにしても・・・お、お兄様が私の名前を呼びながら、興奮していて、この息遣い・・・はぁ、はぁ、早く現実になって欲しいです・・・」
・・・さっき2人で幸せになれれば怖いことはしないとか言ってたけどこの感じを見るに絶対されるだろうな・・・
「き、霧響?兄妹────じゃなくて、俺たちは結婚なんてする必要はないと思うんだ」
「・・・どういう意味ですか」
霧響が真剣な眼差しで問いてきた。・・・これは答えを間違えたら終わりだな。
「ほ、ほら、俺たちは兄妹とか関係なしに、血の繋がりがある家族だろ?つまり、結婚なんてしなくても俺たちは生まれた時から家族なんだ」
「・・・はい?何をおっしゃってるんですか?」
霧響は頭にクエスチョンマークを浮かべた。・・・間違えたことは言ってないはず、むしろ霧響が喜ぶように言ったはず・・・
「生まれた時から家族で私たちが他の何よりも濃い繋がりで結ばれているということにお兄様もしっかりと自覚しているということには感心しました」
よ、よし、なんとか霧響の地雷は踏まずに済んだよう─────
「ですが」
・・・ですが?
「生まれた時既に与えられた物だけではなく、しっかりとお互いがお互いを認識した上で改めて結婚をして、幸福を感じることこそが私は必要だと思ってます」
「俺は別に結婚なんてしなくても霧響とは本当に楽しさとか色々なものを共有できると思ってる」
・・・そう、霧響に俺に対する結婚欲と管理欲さえなくなれば、絶対に霧響とは普通よりも仲の良い兄妹になれる確信がある。
そしてそれは、そのどちらか一つでもなくなれば一気に仲の良い兄妹に近づけるということでもある。だからここで俺と結婚をしたいという考えを捨ててもらおう・・・
「・・・それではダメです」
「ダ、ダメ・・・?」
「結婚を成せなければ私とお兄様は真に愛し合えるとは思えません」
「け、結婚なんてしなくても────」
「なんて・・・?」
「・・・え?」
「お兄様、今結婚`なんて`とおっしゃいましたか・・・?」
ま、まずい、もしかして霧響の地雷だったのか・・・?いや、霧響じゃなくても結婚に夢を描いてる女子なら誰でも怒るな・・・
「どうやらお兄様には結婚というものの大事さを教えて差し上げなくてはならないようですね・・・」
「えっ・・・」
それから霧響は饒舌に結婚の重要性について話し始めた。
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