第465話初音による命令
「そーくん?どうしたの?ほんとに大丈夫?」
まずい、まずいまずいまずい!
あゆをどこかに隠すか・・・?隠せる場所はあるにはあるけど・・・
「せんぱ〜い❤︎」
あゆはずっと抱きついてきたまま俺のことを離してくれる気配が全くない。
あゆとしては初音に見つかっても見つからなくてもどっちでも良いってことなのか・・・なんて厄介な。
「あ、あゆ!取引だ、後でなんでも────」
いやだめだ。焦った時になんでもっていうのは俺の悪い癖だな、このなんでもという言葉のせいで一体どれだけ被害を被ってきたか・・・
「────じゃなくて膝枕するから今は身を隠してくれ」
「えっ!?ひ、膝枕ですかぁ!?」
「お、おい!声がでか─────」
`バタン`
「・・・そーくん、わかってるよね?」
「・・・・・・」
その後俺は初音にお風呂から無理やりつまみ出されてしまい、今は俺の部屋に2人でいる。因みに俺は腰にタオルを巻いたままの姿で今現在進行形で土下座をしている。
「・・・・・・」
「・・・そーくん」
「その・・・ごめん!」
「謝って許されると思ってるの?」
「・・・そ、その、お風呂に入ろうとしたらあゆがいて─────」
「いて?何?裸で抱きついてたよね?」
「いや、その・・・」
「どちみち、そーくんが私以外の女とお風呂に入ってたって事実は消えないし、私以外の女に裸で抱きつかれてた事実も消えない、違う?」
「・・・そうです」
もはやこれは誤魔化したり言い逃れたりする方が最低だな。ここは大人しく介錯を望むしかないか・・・
「何されても文句、言えないよね?」
「・・・はい」
流れの赴くままに、身を任せよう。
「じゃあ今からその姿のまま私に抱きついて私の耳元で「初音愛してる」ってできるだけ低い声で言ってから4秒間ぐらい軽く私の耳にキス、それから次にそーくんから私の唇に4.3秒間キスしてから吐息と共にキスをやめる、それで0.9秒ぐらい間隔を空けて今度は5.7秒私にキス、それをしたら今度はさらに私のことを強く抱きしめて「初音なしじゃ生きられない」って私の耳元に吐息を含めて本当に心の底から言う、その次に「一生俺から離れないで」って言ってくれたら許してあげる」
「・・・・・・え?」
耳元で・・・愛してるからの、4秒キスして・・・?今度は唇に4.3秒キスして?0.9秒吐息してから抱きしめる・・・?やばい、設定が細かすぎて全然覚えられなかった・・・
「じゃあ、してね」
初音はベッドに座り、俺に期待するような目で見ている。・・・え?いや、全然覚えてない。・・・とりあえず覚えてるところまでやろう。
「じゃ、じゃあ・・・」
た、確か初音に抱きついて・・・
「んっ・・・❤︎」
初音の耳元で・・・で、できるだけ低い声・・・?で────
「初音愛してる」
「んんっ❤︎」
って言ってから初音の耳に・・・キス?確か4秒ぐらい・・・ハ、ハードルが高いけどこれは俺が全面的に悪い問題だ、文句を言うな。
`チュッ`
「んんんっ❤︎」
4秒経ったら次は─────
「んんんんんんんっ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」
「・・・え?ちょっ、初音・・・?」
初音はそのまま喜んだような、悦んだような感じでベッドに倒れ込んだ。
・・・と、とりあえずこれで良かった・・・のか?
俺は部屋の隅で着替えてから、初音が元の状態に戻るまで待つことにした。
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