第461話天銀は見せて欲しい
ご飯を食べ終わり、今初音と結愛と霧響とあゆが俺の使った食器を誰が洗うかで言い争っている。本当に毎回思うけど、なんで頭はいいのにその言い争いが不毛だということに気づけないんだろうか。
そんなことを思いながら、リビングのソファーに腰をかけると天銀が俺の隣に腰をかけてきた。
「最王子くんは本当に大変ですね」
「・・・そうだな」
否定できる材料がないのがもどかしい・・・
「・・・最王子くんに一つお願いがあるのですが、いいですか?」
「ん?なんだ?」
天銀は俺の身の回りでは数少ない常識を持った人間で、その存在に精神的に救われてる面もある。俺にできることなら協力したいところだ。
「僕に最王子くんの僕にはついていないものを見せてください」
「・・・え?僕にはついてない、もの・・・?」
ま、まさか・・・いやでも天銀に限ってそっち系な話なわけがない。
前の反応でもわかった通り天銀は高校生かと疑うぐらい純情だった。
「はい、実は先ほどあゆさんに聞かれまして・・・」
「あゆに・・・聞かれた?何を?」
「確か「男の人には女にはついてないものがあるじゃないですかぁー、先輩を籠絡するためにそこについてもう少し詳しく教えて欲しいんですけどー」だった気がします」
「・・・・・・」
びっくりするぐらいに棒読みだな。でも・・・変だな、前に久しぶりに学校に行って俺とあゆが公認カップルになった日に天銀とあゆは初めて会った。
その時にあゆは天銀が実は女子だと気づいたと思ってたけど・・・あの時あゆが何かに気づいたように見えたのは俺の気のせいだったのか・・・?
でもそういうことなら・・・
「却下だ!」
「何故でしょうか」
「何故でしょうかって・・・」
もしかして天銀にはついてないものっていうのが何かわかってないのか?
「・・・天銀、ついてないものって何かわかってるのか?」
「わからないから探究心を駆られます、手や足は特に変わらないようですし・・・顔も特におかしなところはありません、となると胴体に何か?」
「・・・・・・」
これはなんていうか・・・言いづらいな。
「・・・あゆが言ってるのは・・・下だ」
「・・・下、ですか?」
天銀は俺の腰辺りを見る。が、俺は諭す。
「・・・後ちょっと下だ」
天銀は後ちょっとだけ下に目線を逸らし、その目が捉えているものはまさにあゆの言う女子にはついていないけど男子にはついているもの、ということだろう・・・何をやらされてるんだ俺は。
「・・・ぁ、ごめんなさいっ・・・!」
天銀は顔を熱でもあるんじゃないかと疑うぐらいに赤くした。・・・そんなに赤くなられるとこっちまで照れそうになるけどそこをぐっと堪えて・・・
「ああ、いや、別に大丈夫だ・・・」
俺はなんとか平常を保ちながら、天銀を宥めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます