第460話初音は総明の刀を納刀したい
「ねえそーくん」
「ん?」
久しぶりに普通の恋人らしい感じで話したりしていると、初音が照れ隠しをするような感じで言った。
「刀って危ないと思わない?」
「か、刀・・・?」
いきなりなんの話だと思っていると、初音が話を続ける。
「うん、刀には鞘がないと誰を傷つけちゃうかわからないでしょ?」
「それは、まあ・・・」
「だよね?だから・・・私がそーくんの鞘になってもいいかな?」
「・・・ん?」
申し訳ないけど意味がわからない。いや、この久しぶりの良い感じの雰囲気を壊したくないから口には出さないけど本当に意味がわからない。
どういうことだ・・・?多分比喩的な表現だとは思うけど、別に俺は誰かを傷つけたりしないし、比喩的な表現なんだとしたらどちらかと言えば鞘がいるのは初音の方だ。
「・・・わかるよね?」
出たー・・・この急な無茶振り・・・この空気でわからないですと言える度胸が俺にあれば・・・
「もちろんだ」
この空気を壊したくないがために、ここは分かってるフリをしておこう。
「っ!じゃ、じゃあ・・・❤︎」
初音は背中をベッドに付けて上を向く体勢で寝転がり、両手を広げて言った。
「来て、そーくん・・・❤︎」
「・・・え?」
この体制とこの感じは・・・明らかに18禁なことをしようとしている感じだ。
な、なんでそんな話になったんだ?全くついていけない。
「ほら、早くっ・・・!そーくんの刀を私に納刀してっ・・・!」
「・・・・・・」
今の初音の発言で俺はようやく全てを理解した。・・・そういうことか、と。
「は、初音・・・?」
「ど、どうしたのっ!そーくん・・・!」
こんなに期待されてて非常に言いにくいけどここはしっかりと言おう。
「俺はまだ─────」
「お兄様、朝ごはんができま─────な、何してるんですかっ!」
朝ごはんができた報告をしに来た霧響がこの状況を見て驚く・・・それはまあ、驚くよな・・・って、まずい。
「き、霧響!こ、これは違────」
「前もこんなことあったね、今私とそーくん本当に良い雰囲気だから邪魔しないでくれる?霧響ちゃん、今部屋から出ていってくれたらお姉ちゃん何もしないから」
と、さっきまでの良好な雰囲気はどこに行ったのか、すぐに怖い時の初音になってしまう。
「ダメです!そんなこと認められるわけ────」
「ねえ今本当に良いところなの、わからない?わからないかな?」
・・・まずい、このまま行くと・・・「わかりません!お兄様の貞操は私が守ります!」とか霧響が言って「守も何もそーくんは私のなの、そろそろいい加減にしないとお姉ちゃんも怒るよ?」みたいなことを初音が言って乱戦状態になってしまう・・・ここは初音を落ち着けよう。
「は、初音!別にそんなこといつでもできるからここは霧響を許してあげてくれ!」
俺はそう初音に耳打ちする。
本当はそんなことする気なんてないけど、それを言うとまた絶対に初音は怒るから余計なことは言わない。
「─────っ!そ、そーくんの声が耳にぃ・・・わ、分かったよ、そーくん、そうだね、お姉ちゃんとしてそのぐらいは見逃してあげないとだよね・・・!」
こうして初音は霧響を見逃し、俺と初音はそのまま料理ができたというリビングに向かった。
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