第453話霧響vs危ない女子3人
「霧響ちゃん!何してるの!?」
綺麗にドアを外したのは初音だったらしい。その後ろには結愛と天銀の姿も見える。よ、よし、これで何はともあれ初音たちが助けてくれるはず・・・
「お兄様には反省してもらってるんです」
「そういうのは私がやるから、霧響ちゃんはどこか行ってて?」
その言葉に何か思うところがあったのか、霧響が皮肉っぽく言う。
「そう言いますが、白雪さんたちに任せるとお兄様が足を折られてしまうので任せるわけにはいきません」
「っ・・・それは、この女がそーくんを奪おうとするから・・・」
「は?そもそも虫がいなければ私が奪う必要だってなかったんだから虫のせいでしょ?」
「それはこっちも同じことだって言われないとわからない?」
またも口論を始めてしまい、霧響がそっと2人を部屋の外に追いやって神業とでも言わんばかりの速さで綺麗に外れたドアを直した。
「天銀さんは何か用があるんですか?」
霧響は息一つ切らすことなく、天銀にそう質問する。
「いえ、その・・・何をしているんですか?」
「何、とは?先ほども言った通りお兄様には反省をしてもらってるんです」
「なんのですか?」
「私に逆らおうとしたことの、です」
「・・・・・・」
天銀はしばらく黙り込んだ。・・・え?てっきり初音と結愛が来てくれさえすればもう絶対に助かったと思ったけど簡単にいなされてしまったし・・・
天銀に賭けてみるしかない・・・!
「ですがこれは過剰────」
天銀が何かを言おうとしたが、霧響が脅すように言う。
「私は天銀さんのことは嫌いではないので、あまりこういうことは言いたくないのですが・・・」
・・・そうだったのか。まあ霧響は誰彼構わず嫌ったりはしないか・・・天銀とは割と性格も似てる部分はあるし。
「あなたが本当は女性であることをバラせば、白雪さんたちは間違いなくあなたに報復しようとします、それをどうにかできたとしても他に困ることがあるのでは?」
「・・・最王子君、申し訳ないですが少しの間辛抱してください、後でお詫びさせていただきますので・・・」
「大丈夫ですよ、別に取って喰おうとなんてしてませんから」
申し訳なさそうに俺に謝る天銀に対し、霧響がフォローなのかどうなのかよくわからないことを言った。
「・・・・・・」
天銀はそっとドアを開いて出ていき、そっとドアを閉めた。・・・え?まさか本当にこのまま餓死地獄コースなのか・・・?そろそろ喉が渇いてきた・・・
「さぁ、お兄様、これで2人で─────」
「私も混ぜて〜♪」
と、俺の下から声が聞こえる。・・・下?
俺は今ベッドに寝ている。つまり、ベッドの下にいたと言うことだ。そしてこの声は────
「あ、あゆ!」
「わぁっ❤︎そんなに私のこと求めてたんですかぁ〜?せんぱ〜い❤︎」
「・・・・・・」
口には出さないけど今だけは求めてたかもしれない。
あゆなら霧響に変に流されることもないはず・・・ここはあゆに任せてなんとかこの状況を打破してもらおう。
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