第451話霧響の苦渋の決断

「・・・・・・」


 まずいですよこれは・・・お兄様が餓死寸前となり私を求めていただき私に反抗するという気概を一生削ぐつもりが今お兄様は睡眠してしまって、逆に寝ているお兄様を食べてしまいたいけど食べてはいけないという生殺し状態に入っていて、逆に餓死してしまいそうです・・・


「あぁ・・・お兄様」


 やっぱり今すぐにでもお兄様を・・・でも、もしお兄様が寝ている間になんて勝手にしたら・・・淫乱女と失望されてしまうかもしれません。


「・・・それは嫌です!」


 であればやはりこの生殺しを我慢するしか・・・お兄様を反省させるためにと自分で作り出した状況、そのぐらい我慢しなくては・・・


「すぅ・・・はぁ・・・」


「・・・・・・」


 ・・・無理です!こんなにもお兄様の寝息が聞こえている状況で性欲を我慢するなんて絶対に無理です!・・・いいことを思いつきました。

 私はお兄様の横に両手を置き、少し体を浮いた状態でお兄様に覆い被さりました。これで今私の胸がお兄様の顔のすぐ近くにあることになります。


「すぅ・・・はぁ・・・」


「・・・っ!」


 や、やはり・・・!これは素晴らしいです。

 お兄様が起きていれば絶対に私の匂いを匂って欲しいと言っても拒否されるでしょうが、寝ている時の寝息と合わせれば私の匂いをお兄様が夢中で嗅ごうとしている図が完成します。


「すぅ・・・んっ、ん・・・」


 ほ、本当に素晴らしいです!たまに唸るお兄様の声で、本当にお兄様と性行為をしている気分になれます。

 その後私は十分ほどお兄様と性行為している気分を堪能させていただき、そっとベッドから降りてお兄様の隣に寄り添います。


「・・・・・・」


 それにしても、足を折られたというのに怒らないとは・・・流石の懐の深さと言わざるを得ないですね。


「─────少しぐらいなら・・・」


 私はお兄様の胸元に顔を置き、お兄様の両背中に両手を回して抱きつきます。


「ん〜!」


 私は情けなくもはしたない声を出してしまいました・・・でもこれは仕方がないことです。お兄様に抱きついていて発情しない方が雌としての機能が無くなっているとしか思えないぐらいです。


「─────はっ」


 やってしまいました、一生の不覚です。もしかしたら私が抱きついていたらお兄様も抱き枕を抱くかのような形で私を抱いてくださったかもしれないのに・・・手を縄で拘束していてはその夢は叶わないです・・・

 ・・・でもやっぱりお兄様には反省してもらわなければならないのでここは自分の欲望を押し殺すことに・・・します。

 ──────苦渋の決断でした・・・

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