第445話1ヶ月ぶりの霧響

「お兄様!よろしければ一緒にお風呂に入りましょう!」


「じゃあよろしくないから入らない」


「・・・昔は何も言わずとも一緒に入ってくださったのに・・・」


 と、霧響は本当に悲しそうに言った。そう言われてもな・・・っていうか1ヶ月ぶりでよくこんなことを簡単に言えるな・・・いや、1ヶ月ぶりだからこそ、なのか・・・?


「それはともかく、あのあゆさんという方はなんなんですか?」


「それは俺も聞きたい」


 中学生の時から俺に好意を寄せてくれてたらしいけどなんで好意を寄せられたのかすら全くわからない。

 まぁあゆの話によると中学生の時は今ほど派手・・・というか美少女を前面に押し出してなかったらしいからな。


「・・・それはそうと、お兄様・・・2人きり、ですね・・・」


 霧響は俺の部屋に2人きりでいる状況を、そう艶っぽい声で言う。

 因みになぜ2人きりになれたのかと言うと、あゆが霧響を煽りすぎたせいで「「私はお姉ちゃんだからっ!」」と2人してあゆに対して怒り、こうして今2人きりになれている。


「そう、だな・・・」


「・・・今この空間にいるのは兄と妹ではなく男と女ということを忘れないでくださいね」


「・・・そ、そうだな」


 そこはやっぱりどうしても兄弟としてしか意識することができないが、そこは黙っておいたほうがよさそうだ。


「・・・お兄様、男女が殿方の部屋でする事と言えばなんでしょうか」


「・・・なんだろうな」


 これは良くない流れだ・・・とぼけられるところまでとことんとぼけよう。


「お兄様の白濁液を賜りたいのですが」


 一気にとぼけようのないところまで攻めてきた。


「・・・は、白濁?な、なんだそれー」


 俺は一応とぼけてみるも、自分でも思うぐらい棒読みだった。


「わかりませんか?精────」


「悪い、わかったからそんなこと言わないでくれ」


 妹の口からその単語を聞くのは兄として嫌だ。


「・・・では、お兄様、横になってください」


「・・・なんでだ?」


「お兄様を私無しでは生きられなくします」


「・・・どういう意味で?」


「性的な意味でですが・・・?」


 そんな「当たり前のことですが」みたいな感じで言われても俺からしたら全く当たり前じゃないどころか非常識にも程がある。


「お、お兄様がどうしてもと言うのであればその・・・わ、私のことをベッドに押し倒していただいても構いませんよ・・・!す、少し恥ずかしいですが・・・」


 別に俺は自分が主導権を取りたいわけでもないんだけどな・・・単純に妹と聖行為なんてできるわけがない・・・んだけど、そんなことを霧響に行っても堂々巡りだろう。

 ・・・そうだ、ここは話題を変えるついでに気になっていたことを聞いてみよう。


「そ、そういえばさっき`生`お兄様とか言ってたけどあれはどういう意味だ?」


「っ・・・!?あ、あれはですね・・・」


 霧響は明らかに不意を突かれたような対応を反応をしたのち、こう続けた。


「お兄様がいないのが寂しくて・・・お、お兄様の等身大ぬいぐるみと一緒に寝たり抱き合ったりしてたんです・・・」


「・・・・・・」


「でも、もちろん生お兄様の方が至高です」


 そんなこと気にしてないのに霧響は今日一番の真剣な顔で言った。

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