第444話霧響vsあゆ

「・・・あ、私?」


「はい」


「私は〜先輩の後輩で〜、あゆって言うんだよ〜?あ、あゆってわかる?あいうえおの`あ`に、やゆよの`ゆ`だよ〜?」


「そんなこと言われなくてもわかります」


 初めて身近に年下の人がいるからってかなり年上お姉ちゃんポジションを取ろうとしてるのが普段あゆの行動が理解できない俺でもわかる・・・


「霧響ちゃん賢いからそう言うのやめてくれる?将来私の妹になるんだから」


「霧ちゃんあなたより何倍も利口だからそんな子供扱いやめてくれる?」


 初音と結愛が霧響を援護するも・・・


「あなた方にそんなこと言われても嬉しくないですっ!」


 霧響はきっぱり言い切って、俺に俺に触れそうな距離ぐらいで俺の方に顔を見上げ、懇願するように言ってきた。


「お兄様が私のことを褒めてくれるなら大歓迎です!」


「え、いやー、うん・・・す、すごいな」


 俺が控えめに言うも、霧響には俺が大絶賛したように聞こえたのかものすごく喜んだ。・・・久しぶりなことも関係してか熱量がすごい。

 それを見ていたあゆがぼそっと漏らした。


「・・・え、もしかして、先輩の妹ちゃんってブラコンだったりします〜?」


「霧響ちゃんはそこさえ除けば本当に良い子なんだけどね・・・たまにちょっかいかけてきたりするけどそれも可愛いし・・・」


「可愛いなんて思って欲しくてしてる訳じゃないですっ!私はお兄様と昔した約束に基づいて行動しているだけです!あとブラコンなんていう俗な発想で人を判断しないでください!」


「妹ちゃ〜ん、小さい時の約束なんて忘れた方がいいよ〜?ほらっ!過去は過去だし〜?」


「過去あってこその今だと私は考えます」


「でも小さい時ってことはまだ物心もついてない時じゃないの〜?そんな過去のことを押し付けられて先輩可哀そ〜」


 あゆは挑発するように言った。・・・言い方に問題ありだけど確かにその通りだ。俺としては本当に結婚するなんていう約束をしていたとしてもそれは過去のことであって今とは考えも違うし結婚に対する捉え方も違う。

 なんで霧響ほど頭がいい子がこれを理解できないのだろう・・・


「いいえ、物心はありました、そうでなければそもそも私はそれを覚えていません」


「それは〜、単純に妹ちゃんにとってインパクトのある記憶だったからか嬉しいことだったからだよ〜?あと、男の子は女の子より精神年齢が低いから物心付く速度も違うし〜?」


 俺としては霧響を説得してくれようとしてるのは非常にありがたいけど精神年齢が低いとかあゆにだけは言われたくない・・・


「そんなの関係ありません、どちみち今現在お兄様が私と結婚したいとおっしゃってくださっているのであれば何も問題はないです、それよりも・・・あなたはお兄様のことが好きなんですか?」


 待て待て、その前に霧響と結婚したいなんて一度として言った覚えがない。


「うん」


「恋愛感情で、ですか?」


「うん〜?うん」


 一瞬何かを悩んだあゆだが、すぐに回答した。


「・・・はぁ、どうしてこうもお兄様の周りには変な人が・・・」


「「本当にね・・・」」


 霧響の言葉に合わせて初音と結愛も続けてそれに同調した。

 ・・・今まででも大変だったのにこれからはまた霧響も加わるし、今の会話の感じでも霧響とあゆが相性悪いのが目に見えてわかった。

 ・・・どうか俺の魂よ、持ってくれ。

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