第439話総明はちょろい?
「先輩って、もしかして自分がちょろくないと思ってるんですかぁ・・・?」
少しの沈黙を破り、あゆがそんなことを言い出した。
やっと何か言葉を発したと思ったらそんなことか・・・
「どこからがちょろいっていうのかはよくわからないけど俺はちょろくないという自信だけはある」
というよりちょろくない自負がある。そもそも俺がちょろかったら結愛とかあゆ、下手したら妹の霧響にすら手を出しているだろう。
が、今の俺はどうだ。ちょっと色々と危ない時もあったことは認めるが、それだけで済んでいる。多分こんなに芯を強く保っていられるのは一万人に1人ぐらいじゃないだろうか。
「・・・先輩がちょろい理由がわかった気がするなぁ・・・」
あゆはまたしても独り言のようにそうぼやいた。・・・聞き捨てならないな。
「俺がちょろかったらとっくに浮気してる」
「それは先輩がヘタレっていうのと、白雪先輩のせいで本当の恋を見失ってるだけじゃないですかぁ?」
「そ、そんなこと・・・ない」
俺がヘタレかどうかは別として俺が普通の恋愛をしてないっていうのはあゆが言ってるだけだ。・・・いや、これが普通の恋愛じゃないことぐらいはわかってるけど恋自体を否定されるのは違う気がする。
「とりあえず、自分がちょろいって自覚持った方がいいですよ〜?」
「そう言われても・・・」
俺が困惑していると、あゆは一度顔を下に伏せた。・・・また何かを企んでるのか?俺だってそうそう何度も嵌められたりなんて────
「先輩っ!酷いですっ!うっ・・・ぅ」
「・・・え?」
顔を上げたあゆは、なぜか泣いていて俺に酷いという言葉を投げかけてきた。
なんでいきなりそんなことを言われないといけないんだ。もしかしたら今何か気づかないうちに酷いことを言ってしまったのか・・・?
よくわからないけど女心は解読する方が難しいし、謝っておいた方が無難だな。
「あ、あの、あゆ、悪かっ────」
「ほ〜らっ♪ちょろいじゃないですかぁ〜ちょっと泣いて酷いって言ったら自分が酷いことを言ったかもって思っちゃったんですよね〜?可愛いなぁ〜」
「はあ!?なんだそれっ!」
「そういうところがちょろいんですよ〜♪」
「なっ・・・」
こっちは本気で何かしてしまったのかと焦ったのになんで可愛いとか言われないといけないんだ、全く嬉しくない。
「でも〜?本当に気をつけた方がいいと思いますよ〜?そんなにちょろいところっと騙されちゃいそうですし」
「・・・・・・」
俺はちょろいのか・・・?・・・ちょっと考える必要がありそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます