第417話総明が王様

 よし、俺が王様なら俺さえ変なことを命令しなければ大丈夫だ。

 しかもこれが最終ゲーム、ようやく気を抜ける────


「そーくん!私2番だから!」


 ・・・え?


「先輩!私3番です!」


 ま、待て待て待て、そんなこと言われたら消去法で天銀の番号もわかってしまう・・・そ、それより、王様にさえなれれば楽だと思ってたけど、もしかしたら一番大変かもしれない。なぜなら・・・


「私の番号わかってるのに私以外に命令するわけないよね?で、私の番号が確実にわかってるんだからハードル低いの選ぶ理由もないよね?」


 と言うことだ・・・初音は俺の番号がわかってなかったから遠慮気味に命令しただけであって、俺が初音の番号をわかってるのに抱きつくなんて初音からしたらハードルの低いことを命令すれば初音は怒る。


「さっき私以外の女とハグしたこと、忘れてないよね?」


 さっき全然何も言ってこなかったのはこの時のことを見越して追い討ちに使うためか・・・それを言われたらハグ以上のことは絶対にしないといけなくなる。

 俺的には2番と3番さんは今後も仲良く!みたいなのが一番だけど、ルール上行動じゃないとだめだ。

 ・・・いや、仮にルールで縛られてなくてもこの2人が仲直りなんてするわけないか・・・


「え、えーっと・・・」


 と、とりあえず初音に絞ろう。あゆの場合は後で呼び出されてるしその時になんとかすればいい。まずは初音だ・・・


「に、2番の人が王様に・・・いや」


 2番の人が王様にキスって言おうとしたけどそれだと初音は満足しない。ここは恥ずかしいのを堪えてもう一段階上に行こう。


「王様が2番の人にキ、キスするから抵抗しないように・・・」


「はーい❤︎」


「ちょ!ちょっと待てください!そんなのさっき先輩が言ってたルール以前の問題に当てはまるんじゃないんですか〜!」


 あゆがそう言うと、天銀もなぜかコクコクと頷いて見せた。


「そーくんと私の間柄なんだから、このぐらい当然でしょ?むしろもしいつもみたいに私からキスしてなんて言ってきたら説教してたし」


 よ、よかった、本当に一段階上に設定して命拾いした・・・


「い、いつも・・・ぃっも・・・」


 天銀は何かに驚いたみたいだったけど、それは置いておこう。


「で、そーくん、王様の命令は絶対だから、私は抵抗せずに待ってるから、そーくんからキスしてきてね?」


「は、はい・・・」


 これじゃどっちが王様なのかわからないと思いつつ、俺は初音の方に寄り、屈んでいる初音と向かい合った。

 そして初音はそっと目を閉じた。


「ん」


「・・・・・・」


 俺はその初音の顔に両手を添え、ゆっくりと自分の顔を近づけていき

 ──────唇を重ねた。

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