第416話あゆが王様
あ、あゆが王様か・・・でもさっきと同じだ、きっと俺の番号がどれかはわからず、他の人に当たった時のリスクも考えて命令するはず。
それなら最高でもさっきやらされた抱きつくぐらいだろう。ちなみに今回、俺は1番だ。
「ん〜・・・」
あゆは少し間を置いてから何かを探るようにクンクンすると、言葉を発した。
「じゃあ1番の人が私の耳を舐めてから耳元で愛を囁いてください!」
「・・・ええ!?」
ま、また俺だ。なんで毎回俺は当たってしまうんだ・・・しかも耳を舐めてから愛を囁くとか・・・無理だろ!
「ちょっと待って」
初音がそのあゆの命令に対して静止を入れた。
「なんですかぁ〜?ルール上は問題ないですよね〜?」
こんなのルール以前の問題だろ!
「確かにルール上は問題ないけど」
問題ないのか・・・
「そーくんが持ってる1番の棒に何か細工してるでしょ、匂いつけたり」
「えっ・・・」
俺はそう言われ自分の持っている棒を匂ってみると、確かにお花の香りがした。お花に詳しいわけじゃないのでなんの花かまでかはわからないけど、お花ということだけはわかる。
「そんなの当てつけですよ〜、ささっ、そんなことより先輩!早く私の耳を舐める・・・舐めるのが嫌なら甘噛みでも良いですけど、甘噛みしてから愛を囁いちゃってください!」
「ま、待て待て!さっきの話が本当ならこれは明らかな不正行為だ!」
「だからそんなの私知りませんって〜、ルールは守ってくださいよ〜?」
「無理に決まってるでしょ?なんでそーくんと他の女でそんなことさせないといけないわけ?」
「え〜、はぁ、じゃあ先輩とのハグでいいですよ〜」
あゆは代わりにハグで許すと言う。初音もこれ以上言っても聞かないと諦めたのか俺とあゆがハグするのを見逃すらしい。・・・初音がこうも大人しいと逆に怖いな。いつもなら俺があゆとハグするなんて絶対に許容しないのに・・・
そんなことを思いつつも、俺とあゆはお互いに抱きつきあった。いつまで経ってもこの胸が胴体に当たる感触には慣れることができない。
そんなことを思っていたら、あゆが耳元で囁くように話しかけてきた。
「先輩、後で3階奥にある私の部屋に来てください」
「は、は?な、なんで────」
「もし来なかったら先輩の足を潰して両手も切って永遠に誰も来ないようなところに私と一緒にいてもらうことになります」
「・・・わ、わかった」
そんなことを言われたら断ることなんてできるわけがない。
あゆはそっと俺から手を離し、俺もまたあゆから手を離す。
「じゃあ、時間もいい頃居合いですし〜、次で終わりにしましょ〜」
あゆがそう宣言すると、俺たちはまたも棒を引いた。・・・今更だけど「王様だ〜れだ!」みたいな掛け声はないんだな。別になくてもいいけど・・・って!
「お、俺が王様だ・・・」
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