第407話あゆの目
「うっ・・・はぁ、はぁ・・・」
「先輩も強情ですね〜もう4回も寸止めしてて、しかも薬の効果だってあるはずなのになぁ〜、流石性欲コントロールは一人前ですね❤︎でもそろそろ腰引けちゃってますよ〜?」
あゆが何かを言ってるけど、俺にはもうそれを理解するだけの理性がない。正直今頭の中にはただただ早く解放感を得たいと感じている俺と、そんなのはダメだと言う2人の俺が戦っていて、若干ダメだと言ってる方が優勢なだけであって、この均衡はいつ崩れてもおかしくない。そして崩れた時は・・・
「それにしても先輩がスマホとか持ってなくて本当よかったですよ〜、もし持ってたら白雪先輩にここがバレちゃいましたからね〜」
「くっ、はぁ・・・」
「それにしても・・・どうもこのままじゃ朝になっても先輩は耐えそうですね、ちょっと趣向を変えましょうか」
そう言うとあゆは、今度は鉄の大きい鍋用の取っ手を持ってきた。鍋用の取っ手とは、暑い鍋を手で直接掴むのは危険なため、それを補うためのものだ。
形はハサミのような形をしているが、太さはハサミの比じゃなく、持ち上げることを前提として作られているため、力の伝わりもいい。・・・って、初音が前に拷問がどうのって言ってた。
「そ、それを、どうす、る気なんだ・・・」
「先輩の急所をこれでゆっくりと潰していきます」
「・・・は!?」
なんてことを言うんだ。
「途中で先輩が私とだけ恋人になるといえばそれはやめます・・・私だって本当はこんなことしたくないんですけど、やっぱり痛みによる拷問の方が早いかと思いまして」
め、めちゃくちゃだ!でも流石にそれは我慢がどうのの話じゃない。前ちょっとデコピンされただけでもあんなに痛くて悶え苦しんだのに、あんな鉄で挟み潰されたりしたら死んでしまう。
「ま、待て待て、それは流石に卑怯だ」
「卑怯?今更何を言ってるんですかぁ、利用できるものは利用しないとですよ?」
だ、だめだ、あゆの目があの時の獲物を喰らう蛇の目になってる・・・や、やっぱりあゆは普通じゃない!わかってたことだけど・・・
それでも恋愛に対してはちゃんと俺と向き合おうとしてくれてるのはわかる。が、そこに向かうための手段が強引すぎる。
「じゃあ、早速始め────」
『ピンポン』
「・・・えっ?」
リビング中に、インターホンが鳴り響いた。
「こっちの家は宅配用の住所設定してなかったはずなんですけど・・・こんな大事な時に誰でしょう〜」
あゆは俺の下半身に布をかぶせ、一旦それを見えないようにすると玄関に向かった。・・・ここが初音との違い、か。
もしこれが初音ならここで中断にはしなかっただろう、どんな状況でも目的を達成しようとする、それが初音だ。
だが、あゆの場合は危険が出る可能性がありそうなものは確実に確認し、それが危険ではなければ、特に何もしない、そう言う感じだ。
どっちがいいとかは言えないけど、一先ず一旦は助かったな。
俺はなんとか逃げ出そうと、色々と試みてみることにした。
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