第401話暑い総明
俺が映画を半目程度に見ていると、あゆが料理ができたというのでテーブルの方に行ってみると・・・
「なっ・・・こ、これは・・・!」
思わず喉を鳴らしてしまいそうなほどあゆが出した料理は良い匂いを醸し出していて、見た目もプロの人が作ったんじゃないかと思うほどだ。正直この料理の名前すら俺は知らない。
でも野菜とかちょっとしたお菓子のようなものも入っているのがわかる。
本当にあのグロテスク料理を作った人物と同一人物なのかと疑いたくなってしまう。
「正直別宅には全然食材が置いていなかったのでオリジナル料理であまり自信はなかったんですけど、先輩が喜んでくれてるみたいでよかったです❤︎早速食べちゃてください」
俺はお言葉に甘えてあゆと一緒にいただきますを言うと、その料理を食べた。
「・・・お、美味しい!」
な、なんだこれは。お菓子の甘味と野菜の後味がいい感じに絡まって最高に美味しい。飲み物もなんか高そうなやつで喉を透き通る。それにしてもこの料理はすごいな、胸の中から焼けそうなほど体が暖かくなる。
俺はそんな美味しい料理を全て食べた───が、食べた後に俺は異変に気づく。
「ご馳走、様・・・ん?」
あゆのことだからもしかしたら睡眠剤を入れてるかもしれないと、今食べた後で終わったけど、そんな気配はない。でも、なんていうか・・・暑い。
「な、なんか暑くないか?あゆ」
「もう夏ですしね〜」
「・・・そ、そうだよな」
・・・確かにそうなんだけど、そう言う暑さじゃない。なんだ、変な感じだ。
「あっ、エプロンつけたままで食べちゃってました〜」
そう言ってあゆはエプロンを脱いだ。
「・・・・・・ん?」
「どうしましたぁ〜?先輩」
「い、いや・・・」
やっぱり変だ、今俺は確実にエプロンを脱ぐあゆに対していけない目で見ていた。・・・まぁ、よくよく考えたら後輩の女子と2人きりで一緒の空間にいるんだ、ちょっとぐらいは仕方ないか。
「私たちまだ制服ですし〜、ちょっと着替えません?」
「ああ、そうだな」
「じゃあ、私から脱いじゃいますね〜」
そう言ってあゆは長袖制服を脱ごうとする。もうそろそろ夏なため、ブレザーとかは着ていない。
「お、おい、下って・・・」
「あ、下着じゃなくて薄着ですから大丈夫ですよ〜?」
大丈夫なのかどうかギリギリなラインだけど、まあいいか。
あゆは黙々と上の服を女の子の着替え方という感じで着替えた。
「・・・・・・」
だめだ、やっぱり暑い。
「ちょ、ちょっと顔洗ってくる!」
俺は何か危ないと感じ、洗面所に顔を洗いに行こうとするも、あゆが俺の車椅子を止めて、それを制した。
「どうしたんですかぁ〜?先輩、何か変ですよ?」
そう言って、あゆは前屈みになった。胸が見えるかどうかすれすれのラインだ。っていうかすでにブラジャーは見えてしまっている。
「うわぁ、先輩顔真っ赤ですよ〜?欲情しちゃいまいた〜?」
「そ、そんなわけ────」
俺が反論しようとした瞬間に、あゆは抵抗しないとでも言うように両腕を広げた。───その時、俺は自分でも信じられない行動をしていた。
「・・・・・・」
そう、あゆに抱きついてしまっていた。
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