第400話あゆの別宅
帰り道、いつもと違う帰り道だったので、あゆにどこに向かってるんだと聞いたら別宅だと言っていた。理由は初音があゆの家の前で待ち伏せしてる可能性が高いからだそうだ。
そういうことで俺はあゆの別宅に今、着いた。別宅なんて持ってるのはすごいなと思いながら、俺は足を踏み入れた。
その建物は3階建ての一軒家だった。俺の実家は2階だからちょっと新鮮な感じだ。・・・って!
「なんで学校の外でまで恋人みたいなことさせられてるんだ!」
「だって〜、今家になんて帰ったら先輩どうなるかわかってますかぁ〜?」
「えっ、それは・・・」
俺はそれを想像しようとして、0.1秒でやめることにした。
「知らない方がいいこともあるよな」
「そういうことです♪ささっ、上がってください」
俺はとりあえず家に上がらせてもらうことにした。一階にはリビングがあって、至ってシンプルな感じだった。テレビにソファーにテーブルに、ちょっと奥にキッチン、本当にシンプルだ。
「家は意外と普通なんだな」
「うわっ、なにそれひっど〜い、って言いたいところですけどここ別宅なのでシンプルにしてるだけです」
それはつまりマンションの方の自分の家はシンプルじゃないってことか・・・
「じゃあ先輩、見たい映画でもあったらディスクを挿入してください」
「ああ」
テレビの近くにある棚には無数に映画のDVDがある。よくこんなに揃えたな。
「ちゃんと挿入、してくださいね」
「・・・ああ」
普段実写映画なんて見ないからなぁ・・・アニメとかが劇場版になった時は見に行ったりもしてたけど、実写映画はほとんど見たことがなかったため、新しい発見ができるかもしれない。
「先輩、先輩はこの家のハードディスクを初めて使うんですから、ゆ〜っくり、そ〜っと、痛くないように挿入してくださいね」
「さっきからそれいいたいだけだろ!」
「何がですかぁ〜?」
こんなに連呼されたら嫌でも気づく。
「挿入挿入言うな!ディスクの入れ方ぐらいわかってる!」
「え〜、私そんなつもりじゃないのになぁ〜、先輩が勝手に意識してるだけじゃないですか〜、挿入なんてディスク入れるときは普通に使いますよ〜?」
「うっ・・・と、とにかく挿入は禁止だ禁止!」
「はーい」
全く、油断の隙もないとはまさにこのことだろう。
「じゃあ私はお料理作ってきますね」
「ああ、わかっ───ちょっと待て」
「ん〜?」
「・・・本当に料理作れるのか?」
「あー、この前の料理のこと思い出してるんですかぁ〜?大丈夫ですよ〜、この前のはわざとですから」
わざとって言われてもな・・・そうそう簡単に目と鼻に残ったあの強烈な記憶は拭い去ることができない。あそこまでじゃないにしろ料理が得意なのかは未だ不透明だ。
「ここで先輩の胃袋を掴んで先輩を堕とします!男を落とすにはまずは胃袋からって言いますからね!」
「あー、はいはい、そうだな」
あゆはご機嫌そうにキッチンに向かった。
俺もその間映画を見ようとハードディスクにディスクを入れた。
『あんっ❤︎』
「うわっ!?」
俺がディスクを入れた瞬間に、ハードディスクからそんな音声が流れた。キッチンの方からあゆの声が聞こえる。
「あっ、せんぱ〜い、だからゆっくりって言ったのに〜」
「こんな機能いらないだろ!」
「因みにボイスは私ですよ〜?」
「余計に聞きたくなかった!」
俺はご飯前に最悪な思いをしつつ、小さいおもちゃたちのコメディ映画を見た。・・・結局実写映画よりアニメーション映画を選んでしまったな。
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