第383話結愛は初音に説明する

「と、とりあえずまずなんで初音がここにいるかの理由は────」


「私が子犬みたいにぷるぷる震えてた白雪先輩を拾ってあげたからで〜す!」


「そーくんの前で変な言い方しないでくれる?震えてたのはそーくんが何かされてるかもっていう不安からだから、あと拾うとか次言ったら殺すから」


「きゃ〜、ごめんなさ〜い」


「・・・は?何してくれてるの?」


 結愛が怒ったようにあゆに言った。結愛としては20日間初音がいない状態で俺と一緒にいられると思ってたわけだから、確かにがっかり感はあってもおかしくない。・・・俺としては正直願ったり叶ったりだけど。


「わざとじゃないですよ〜?昨日突入する時に白雪先輩に食料奪われちゃったから買いに行こうとしたら家の前に白雪先輩がいたから仕方なくですよ〜」


 これが嘘であれなんであれ、俺はとにかく助かった───と、初音が玄関に入ってきた時までは思ってたけど、今は状況が違う。


「そう言うこと、で?そーくん、お風呂って何かな、お掃除じゃないよね?」


「あっ!私とそーちゃんのお風呂での出来事聞きたいの?」


 結愛がなんというか・・・マウントを取る感じで言った。


「そうだね、教えて」


 初音は一見平静を装ってはいたが、俺並みの初音ご機嫌取りになると、テーブルの下で初音が両手をグーにしているのが見えている。


「えーっと〜、昨日ね?私とそーちゃんは一緒にお風呂に入ったの」


「・・・なんで?」


 当然初音はそこに疑問を抱くが、結愛はそれを適当に流した。まあ、俺としても俺があゆにダウンを取られてあれが腫れてるかどうか確認するためにとは言われたくなかったからよかった。


「まあそれは置いといて・・・で、まず脱衣所での話なんだけど、そーちゃんがばんざいしてくれて、私はそれをゆっくりと脱がせたの」


「・・・・・・」


 うわうわうわうわ、待て待て待て、初音の手から薄らと血が出てる。多分手を力強く握り込み過ぎて爪が手のひらに刺さってるんだろう・・・


「でね?私がそーちゃんの上半身の可愛い突起物にチョンッってしたらそーちゃんが情けない声を出したの!あれは可愛かったなぁ・・・」


 それにはあゆも一瞬反応して見せ、そんなことまでしてたのかと言わんばかりの表情で俺の方を見据えてくる。

 その後もあゆはお風呂での出来事を初音に全て話した。・・・ちょっとでも嘘が混じってればそこを否定できるんだけど、あいにくと結愛は嘘は混ぜなかった。

 混ぜなくてもやばい話だ・・・


「そっか・・・そーくん」


「はい・・・」


「地下、行こっか」


「・・・・・・」


 俺はまさかの久しぶりの地下という名の牢獄行きが決定してしまった。・・・うう、これに関しては俺が悪いから何も言えない・・・しかも学校を休んでることを考えると助けなんて────


「・・・・・・」


 俺は天を仰ぎ、この部屋にしばらくの間のさよならを心の中で告げていた。

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