第376話眠る前の一大事

 俺は今、ベッドの上で今から寝ようとしていた。

 結局今日は全然自分の部屋に篭ることができなかった・・・でもなんとか危険なことはしてな───いことはないな・・・お風呂のこととか初音に話したら完全にアウトだろう。


「はぁ・・・」


 よくよく考えたら俺はなんていうことをしてしまったんだ・・・結愛に流されて結局ほとんど裸でお風呂に入って触られたりもしたし・・・やることやることが空回っている気がする。


`ゾワッ`


 やばい、考えたら本当に血の気が引いてきた。どうする、初音に説明なんてしたら絶対に終わる。かといって黙ってても初音の謎の勘のせいで見破られてしまうという経験を俺はもう嫌というほど味わっている。


「なら・・・」


 うまい嘘の付き方っていうのに、確か真実にちょっと嘘を混ぜる、みたいなやつがあったはずだ。それでなんとか凌げばいいか。


「よし・・・!」


 俺は今後の展望が見え、布団の中に入り、枕を頭の下に敷いて寝転がった───が、その瞬間、隠そうともしないドアを開く音が聞こえ、目だけをそっちにやると、そこには結愛がいた。


「一緒に寝───」


「おやすみ」


 俺は結愛の術中に入ってしまう前に眠ることに決めた。俺だって学習する、結愛と話すと絶対に最後には結愛のいいようになるようにできている。なら眠ってしまった方が早い。


「そんないじわるするんだ〜、へー」


「・・・・・・」


 なんと言われようとさっさと眠ってしまえば俺の勝ちだ。いっそのこと寝たふりでもいい。


「今寝たら襲っちゃうけどいいの〜?」


「・・・・・・」


 嘘だ、結愛は一応優しいところもあるからそんなことはできないはずだ。


「それは嘘だけどキスするよ?」


「・・・・・・」


 それは本当にしてきそうだな。俺は自然な形で寝返りを打って結愛の方から顔を逸らした。


「あっ!逃げてもダメだよ?」


 そう言って結愛の足音が近づいてきたため、俺は眠ったふりをやめ、最終防御形態に入った。その名も・・・布団くるまり防壁だ。

 布団の端と端を俺の両手と両足で押さえ、その中にくるまることで絶対に俺に触れられることはない。


「そーちゃん、これじゃキスできないよ」


「当たり前だ!させないためにやってるんだ!」


「・・・へー」


 結愛はそう適当に流すと、その布団を力ずくで奪った。って、おいおい、嘘だろ?全体重・・・大体50キロぐらいの体重がかかってるのに力づくで取れるものなのか?

 ま、まずい。俺はすぐにベッドの下に落ちた布団を取ろうと体を屈ませ取ろうと───


「っ!?」


 その瞬間、結愛も布団を取ろうとしたのか、体を屈ませたが、それが俺と同時だったため、意図せずお互いの唇が重なってしまった。


「んっ!?」


 結愛も予想外だったのか、かなり驚いている。・・・ぁぁ。

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