第377話あゆとベッドの上で

「・・・・・・」


「・・・・・・」


 結愛はそっと俺の唇から自分の唇を離し、顔を桜色にした。そして、普通の女の子のように照れている、というより恥ずかしがっている。


「・・・///」


 いや、その、え?お、俺だって恥ずかしがってるけどなんかいつもと全然違いすぎて動揺してしまう。


「ふ、不意打ちすぎるよ・・・!」


 そ、そういえば初音も不意打ちはやめてとか言ってたような気がするな。こういう人たちは自分からする分には全然恥ずかしさを感じないし相手がしてきたとしても計画通りみたいな感じなんだろうけど、不意打ちの出来事にだけはめっぽう弱いのかもしれない。


「・・・柔らかかったな」


「っ!?」


 俺はわざとボソッと感想を漏らした。いつも弄ばれてるんだ、このぐらい別にいいだろう。今を逃したらまたいつやり返しできるかわからない。俺のその一言だけで、結愛はオーバーヒートしたのか、本当にアニメのようにそのまま顔を沸騰させ、倒れた。本当に不意打ちには弱いらしいな・・・

 俺は結愛をリビングのソファーに移し、毛布をかけた。


「よし・・・」


 これでようやく眠れる。そう思い、俺は自分の部屋に向かい、自分の部屋に入ったが、今度はいつの間にかあゆが小さく寝息を立てて眠っていた。っていうかついさっき俺はこの部屋を出たばっかりなのにいつの間にここに入ったんだ・・・?


「ね、寝てるのか・・・?」


 俺は本当にあゆが眠っているのか確認するべく、あゆの顔を覗いてみた。っていうかいつの間に起きたんだ。あの料理を食べてからずっと危ない表情で気絶してたのに・・・本当に俺の血は何か毒でも入ってるのかとちょっと心配になったぐらいだ。

 そんなことを思いつつも、部屋の入り口とは真反対の方を向いて寝ているあゆの顔を、俺はあゆに覆い被さって見てみると、本当に寝ているみたいだった。


「はぁ・・・」


 俺は安堵の声を漏らす。流石のあゆもこんなに激動の一日が続くと、体力が持たないってことなんだろう。

 さて、俺はどこで寝たらいいんだろう───


「はぁはぁ言って、夜這いですかぁ〜?せぇんぱ〜い❤︎」


「えっ!?」


 いつの間にかあゆが目を覚ましていた。


「私の上に覆い被さってずっと私の顔見て・・・キスしたくなっちゃいましたぁ〜?」


「なってない!」


 た、確かに客観的に見たらこれはどう考えても俺があゆを襲っているように見えてしまう。


「じゃあさっさと降りてください」


「わ、わかった」


 あゆはつまらなそうに言った。そんな感じで言われても俺はあゆに何かをする気はない。

 俺は言われた通りベッドから降りようとしたが───


`チュッ`


「・・・ん?」


 あゆが俺の服の襟の部分を引っ張って、自分の唇を合わせた。

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