第348話あゆは無敵
「嘘ですぅ〜、私が独断で置きました〜」
「・・・は?」
初音が困惑の意を表した。もちろんそれは俺も例外じゃない。本当のことを言ってくれるのはありがたいけど、何か裏があるんじゃないかと勘繰ってしまう。
「だから〜、私が私と似たような髪型で似たようなスタイルの人と子作りする本をベッドの下に置いたんですよ」
ここまで清々しく白状するとは・・・やっぱり何か狙いがあるはずだ。
「・・・何それ、そーくんがその本を見て何か妄想するとでも思ったの?」
「はい」
「いやしないし!っていうかなんでいきなり本当のことを言う気になったんだ?」
「私的には先輩と白雪先輩が別れてくれればいいんですけど〜、白雪先輩何しても別れるとは一言も言わないですも〜ん、前だって別れるじゃなくて`殺す`だったし今度は`犯す`みたいな感じだったし・・・流石に先輩の初めてを獲られるのは嫌なので、身を引くことにしました」
なんて自分勝手な理由なんだ・・・俺はその身勝手のせいであと一歩で殺されそうになって、ついさっきまで初音に襲われそうになってたのか・・・
「あゆ!覚悟しろよ!」
俺は先輩として決意を固め、あゆを叱ることにした。
「きゃあ〜、言葉責めはやめてくださ〜い❤︎」
「・・・・・・」
だめだ、叱ったりしても逆効果だ。こうなったら・・・
「無視する!」
「え〜、放置プレイですか〜?それとも焦らしプレイですか〜?」
「そーくん?」
「ち、違う違う」
何をしてもそう言う方向に持っていけるのはもはや才能の一種だな・・・何があゆに対しての一番の罰になるのかわからない。・・・待てよ、初音とか結愛とかには一応ちょっとだけ弱点的なものがあるけどあゆはどうだ・・・?
例えば俺が力づくで襲うとか言っても「きゃあ❤︎」とか言っていつもの調子で笑うだけだろうし、無視したり怒ってもさっきと同じだ。
でも逆に積極的にあゆに対して好対応をしたところで、それはそれで素直に喜ばせてしまうことになる。
「・・・・・・」
対処法が、ない!?どうすればいいんだ、とんだ爆弾を抱えてしまった。
「先輩どうしたんですか?そんな対処法が無さそうな顔して・・・❤︎」
おまけに洞察力まで高いと来た・・・本当にどうすれば───
「大丈夫、そーくんは私が守ってあげるから」
俺はそのセリフの直後に前両足が大怪我したんだけどな・・・
「じゃ、そーくん、帰ろ?」
「え?あ、ああ・・・」
そんな感じで俺たちは一旦自分たちの家がある20階に戻り、家の中の玄関で靴を脱いだ。
「そーくん」
「・・・ん?」
「今日はホテルで泊まろっか」
「・・・は?」
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