第344話あゆの反省

 そして初音がいなくなった部屋の中で、俺とあゆは2人っきりになった。


「どういうつもりだ!あゆ!」


「・・・まさかプライベート空間のはずの個室にまで監視カメラを付けてるなんて、これじゃ囚人みたいですね〜」


「うっ・・・」


 痛いところを突いてくれるな。いやいや、今はあゆを問いただす方が先だ。


「とにかく!なんでこんなことをしたのか答えろ!」


「なんでって・・・それはもちろん先輩と白雪先輩を別れさせるためですよ〜」


 やっぱりそういうことだったのか・・・


「でも今回のは失敗でしたね、反省します」


「・・・え?」


 反省?今反省って言ったのか?なんだ、初音とか結愛とかは反省とかは基本的にはしないけど、あゆは反省できるのか。これはかなりいいことを知れたな。


「今回の私の計画的には先輩と白雪先輩を別れさせることだったんですけど〜、白雪先輩は終始一貫して別れるじゃなくて殺すって言ってたじゃないですか〜」


 確かに初音は`別れる`とは一言も言ってなかったな。


「まさか別れるぐらいなら殺すっていうぐらいまで頭が壊れてるなんて思ってなかったな〜、というのが今回の反省点なので、今度はもっとうまくやりますね〜♪」


「・・・は!?」


 全然反省してない!さっきまで嵌められてたのに簡単にあゆを見直した俺が馬鹿だった。


「まあ、今ここで白雪先輩がいない間に既成事実作っちゃってもいいんですけど〜、そんなの恋愛じゃなくて強姦なので私はそんな酷いことしません!」


 さっきまで俺のことを綺麗に嵌めてたくせに酷いことしませんなんてよく言えたな。


「あ、でも先輩が嵌められたくないのであれば、私のことをハメてもいいんですよ?」


「そんなことしない!」


「冗談です♪そろそろ白雪先輩が監視カメラの映像を確認し終えて私が嘘ついたてたことバレちゃいそうなので退散しますね〜」


 そう言って手に持っていた布団を落として着替えを始め───


「おおお、俺がいるのに着替えるな!」


 胸とか大事な部分は幸い見えなかったけど布団が落ちたことでだいぶ見えてしまった・・・


「え〜、先輩が出ていってくださいよ〜」


 車椅子の俺にそんな機敏な動きを求められても困る。


「・・・あっ、でも先輩も私の裸を半分ぐらい見たんですから今度先輩の裸も半分見せてもらいますからね〜」


「今の俺悪くないだろ!」


「あー、はいはい、痴漢魔とかは大体そういうこと言うんですよ〜、まあ私としては男の人が痴漢なんて頭の悪いことをしてくれるおかげで人生が窮地に陥った時に冤罪で男を追い詰めて慰謝料をもらうっていう算段もあったりするんですけどね〜♪」


 それは割と冗談で済まないような発言だけど、冗談だよな?

 そして俺は慣れない車椅子を操作して、部屋を出た。程よくしてあゆが部屋から出てきて、玄関に向かった。


「じゃあ、また会いましょうね〜先輩❤︎」


 そう言葉を残してあゆはこの家を去っていった。・・・そういえばあゆは同じマンションなのか・・・必要なら今度あゆの家に乗り込んで親御さんに色々と相談してみるのもありかもしれないな。

 俺はそう思い、自分の部屋に戻った。初音もそろそろ戻ってくるだろう。


「・・・あ〜、先輩があんなにガード堅かったなんて、意外だな〜、あんなガード堅い先輩がそんな簡単に浮気なんてするわけないのに・・・やっぱり先輩の理解者は私だけですね❤︎」

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