第341話女の子も成長する

 なんていうのが出会いだったなんて入口が大事とか言ってるあゆに言えるわけないよな・・・


「あれ〜?急に黙っちゃってどうしたんですか〜?やっぱり最初の出会いはダメダメのグダグダのグズグズだったんじゃないですか〜?」


「それは言い過ぎだ!」


 確かにダメダメのグダグダのグズグズだったのかもしれないけど何も知らないあゆにそこまで言われる筋合いはない。


「・・・先輩、真剣に考えてください」


「・・・何を?」


「さっきの告白の返事です」


 さっき真剣に考えた上で断ったんだけどな・・・


「もう一度よく考えてみてくださいよ〜」


「よく、考える・・・?」


 俺は真剣によく考えた結果断ったんだけどな・・・


「はいっ♪だってもし私と付き合えたら〜、一緒にお出かけしたり〜、一緒にご飯食べたり〜、映画とかも見ちゃったりして〜、夜には・・・この私の肉体を自由にできちゃうんですよ?」


「一緒にお出かけするのもご飯食べるのも映画見るのも初音とできるし夜は・・・ま、まだ俺には早い・・・」


 っていうか体とかじゃなくて肉体とか言われると変に想像してしまいそうになる。


「早いって・・・先輩高校生ですよ〜?日本の高校生の一割が性行為経験してますよ〜?日本はちょっと遅れてるので世界的に見ればもっとですよ〜?」


「うっ・・・」


 お、落ち着け・・・日本で見れば一割しかそういう経験はしてないんだし、大体こういうのは焦ってやるようなことでもない。焦ってそういうことをしようとするからこそ性犯罪者なんていうものが出るんだ。ここは慎重に、心を落ち着かせないと・・・

 

「それなのに未だに異性の秘部も見たことがないなんて〜」


「・・・・・・」


 見たことがないこともない・・・とは言えないな。小さいときは霧響と一緒にお風呂に入ってたから視界に入る程度の気持ちだったけど一応見たことはある。


「・・・え〜?もしかしてその反応、見たことあるんですか〜?」


 いっそのこと天銀にでも弟子入りして探偵を始めた方がいいと思う。


「な、なんのことだ?」


「うわぁ・・・その反応、本当に見たことあるんですね〜、誰のを見たんですか〜?秘部と言っても女の数だけその質は変わってきますからね〜」


 そんな情報聞きたくない。


「い、言うわけないだろ!」


「・・・先輩妹さんとかいます?」


「い、いるけど・・・」


「・・・はぁ、よかった〜、どうせ子供の頃に妹さんの裸を見てそれで一応俺は女を知ってるみたいな感じで満足してるんでしょうね〜」


 本当に図星なことを的確についてくるあたり怖い。


「でも、女の子だって成長するんですよ〜?」


 そう言って自分の胸を下から持ち上げて見せた。そういうことはあんまり軽々しくはしないで欲しいものだ。


「あっ、もちろん胸だけじゃなくてここも───」


`ガチャガチャ`


「ひっ・・・」


 ドアのチェーンが引っかかる音が聞こえてきた。一応指紋認証とか網膜認証とかがあるけど、中からチェーンをされているとそれも意味をなさない。・・・って!


「は、初音が帰ってきた・・・」


 や、やばい、どうしよう・・・こんなところ見られたら・・・


「大丈夫ですよ♪チェーン閉めてますし」


「た、確かに一時的には大丈夫かもしれないけど、もしバレたら・・・」


 バレたらチェーンまでして何してるんだということになる。ま、まずい・・・


「そーくん!」


「ひっ・・・」


「なんで鍵閉めてるの?開けて」


`ガチャガチャガチャガチャ`


 やばいやばいやばい。


「大丈夫ですよ♪いっそのこと一生ここで2人で暮らしちゃえば万事解決ですよ❤︎」


「何も解決してない!」


「・・・そーくん、誰かいるの?」


 ・・・詰んだ。今まで色々として回避してきたけど今回は冗談抜きで詰んだ。


「ん〜、どうせなら・・・」


 あゆが俺の部屋にダッシュで入った。


「な、何する気だ!?」


 俺は車椅子で後を追いかけるも、やっぱり足には勝てなく、中から鍵を閉められてしまう。


「まあまあ、大丈夫ですから、安心してくださ〜い」


 安心なんてできるか!・・・とりあえず今俺が考えるべきなのはあゆをどこに隠すのか、だな。

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