第335話初音と後輩の口論
「で、何?本当ならそーくん以外の人間、ましてや女なんかに使ってる時間なんてないんだけど」
実際男の方が問題だけど・・・そーくんを差し置いて他の男となんて一緒にいたらそれこそ浮気だし。天銀はなんか異性って感じしないからたまに接しちゃうけど・・・なんでだろ。
「まあまあ、落ち着きましょうよ〜」
大体、この女のせいで後一歩だったところが邪魔されたんだし。
「落ち着いてなかったらナイフで刺してるから」
「あははっ、怖〜い」
この態度もムカつく。最初は彩音に似てるぐらいでそーくんに話しかけた罪で何かしらしようとは思ってたけど彩音より別の意味で嫌な奴。
「わざわざ2人きりの時間を作ったのは白雪先輩にお願いがあるからなんですよ〜」
「・・・私に?」
何をお願いされてもこんな奴の言うことなんて聞くわけないのに。
「で、お願いって?」
「ん〜、単的に言うと〜・・・恋愛ごっこなんてやめて先輩と別れてくださ────」
私はこの女の左肩を押さえて左手に隠し持っていたスタンガンでこの女の首元を狙った。するとこの女は履いていたスカートの右ポケットから小さい板を取り出した。そしてそれを、私のスタンガンに押し当てた。
「これ絶縁体なんですよ〜、やっぱりか弱い可憐な女の子には常に身を守るための道具が必要ですよね〜」
「絶縁体・・・常に持ち歩いてるなんて、頭おかしいんじゃないの?」
「それを言うなら本気でスタンガンを押し当てようとしてくる先輩の方がおかしいですよ〜・・・ちょっと見くびってました」
そう言ってこの女は私の左手を払ってスタンガンを落とさせた。
「このっ───」
「まあまあ、今時こんな肉弾戦、それも女の子がするようなことじゃないですって」
この女はその態度が余計に痛めつけたくなるような態度だって気づいてないのかな。
「・・・とにかく、そーくんと別れるなんて論外だから」
「ん〜、困ったなぁ〜、せっかくまた会えたのにな〜」
しばらく考えるポーズを取って、口を開いた。
「だってあんな好素材なかなかいないと思いませんか?」
「そうだね、だからこそそーくんは私のだから」
そーくんを素材扱いするなんて・・・目まで節穴。素材なんて範囲で留めてる時点で全くそーくんの崇高さがわかってない。
あの女ですらそーくんの凄さには気づいてたのに。それすらわからないなんて、女やめるどころか人間じゃないのかな。
「最王子先輩って普段は割とちょっとだけ強気・・・ではないにしろ口調だけはちょっと強気な感じじゃないですか〜」
「・・・・・・」
「でも多分ちょっと崩したらすぐに崩れちゃう、トランプタワーと同じです」
・・・こいつの言ってることはよくわかる。でも、そーくんが強気な感じを出してるのはあくまでも自分の身を守るため、まあそう言うところも可愛いんだけど・・・❤︎この女はやっぱり全然わかってない。
「それいでいて性格は基本的には真面目で誠実・・・でもだからこそちょっとイジワルした時には多分ローリスクハイリターンになって帰ってくる・・・あぁ、白雪先輩はそんな先輩のことを虐めて今まで楽しかったんだろうなぁ・・・」
「・・・私はそーくんのこと虐めてなんてないけど?」
さっきからこいつの言い草がだんだん不愉快になってきた。・・・刃物も持ってきたらよかった。
「・・・虐めてない?・・・あれで?」
「うん、私とそーくんは相思相愛────」
「私実は中学生の時2年間ぐらい先輩のことストーカーしてたんです」
「・・・は?」
何言ってるのこいつ、もしそれが事実なら本当に殺すけど。
「いませんよ、あんな人間味溢れてる人間なんて」
吐き捨てるように言った。
「人間味溢れてる人間?」
「もし先輩が恋愛に興味持った時は私がその対象になろうと思ってたのに・・・先輩が恋愛に興味なさそうだったから我慢してたのに・・・」
「だからさっきから何言って───」
「先輩なんでこんな女選んだんだろ・・・」
そう言って彼女はどこかに去っていた。誰になんと言われようと、私のそーくんに対する愛は本物。それは絶対に変わらない事実。
「・・・はあ」
私を虫としか認識できないあの識別回路が壊れてる女より厄介そう・・・
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