第331話後輩の挑発
「・・・はあ、先輩も見る目ないな〜、絶対別れた方がいいと思うな〜」
なんなんだこの子は・・・
「なんなの?私たちのこと何も知らないのに───はあ、もう時間にするだけ無駄か、行こ?そーくん」
「えっ、あ、ああ・・・」
初音は強引に両手で車椅子を前に押し進めた。
「2人って釣り合ってないですよね〜」
そんな発言を聞いて初音はピタッと足を止めた。
「何それ、どういう意味?」
「だって、先輩に白雪先輩みたいな女なんて釣り合ってないですよ、もっと優しくて可憐な人とお付き合いすべきです、例えば───私とか?」
嘘つけ!と声を大にして言いたい。釣り合ってないって言われた瞬間に連想するのはどう考えても初音の方が上で俺の方が下なのにこの子は一体何を言ってるんだ?こんな部活勧誘みたいにとりあえず持ち上げて落とすみたいなハニートラップにかかるほど俺は間抜けじゃない!
「申し訳ないけど俺は君のことを何も知らないし初音が釣り合ってないなんて思ってないしなんなら俺の方が下───」
「そーくんそれ以上は私に対する侮辱にもなるよ?」
「・・・ごめんなさい」
確かに今の発言は控えておくべきだった。反省しよう。
「・・・あははっ、やっぱりそうじゃないですか〜」
「な、何が?」
思わず聞き返してしまった。またも初音に睨まれもう反応するなという感じの目つきを送られる。
「先輩たちがやってるのは恋愛`ごっこ`ですよ、そんなものやめたほうがお互いのためですよ〜?」
「恋愛ごっこ・・・?」
何を言ってるのか意味がわからないな。段々と俺もムカついてきた。
「ごっこでここまで長く一緒にいられるわけがない!」
「長く?そんなものに意味なんてあるんですか〜?それに、強いて言うなら私のほうが長いと思うんですけどー?」
これまた何を言ってるのか意味がわからない。今日1日で一体何個クエスチョンマークを製造させる気なんだ・・・
「あれ、覚えてないって感じの顔ですね〜?まあ無理もないですよ、中学生の時に一度プリント拾ってもらっただけで見た目もだいぶ変わったしぃ?」
ちゅ、中学生の時・・・?つまり同じ中学校だったってことなのか・・・?
いやいや、嘘だ。こんな目立つ子がいたら流石の俺でも気づく。
「中学の時はいじめとか嫉妬とかの的にならないために伊達メガネまでして目立たないようにしてたんですよー、だってほら、私って可愛いじゃないですか〜?」
いじめとか嫉妬のために目立たないようにしてたっていうのは女子の中ではよくあるのかどうか知らないけど自分のことを自分で可愛いという人にここまで好感を持てないのかと思ったけど実際に見た目だけで言えば可愛いから反論できない・・・
「でも、なんでそんなプリント拾っただけで───」
`ツンッ`
初音が俺の左足の人差し指で軽く突いた。が、当然俺からすれば先の丸い棒で溝うちされたぐらいの痛さはある。
「いったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「他の女とばっかり話してるからだよ、もう無視しよ、こんなやつに構ってても時間の無駄だよ」
「あっ、どうぞっ!先輩方の邪魔をする気はないのでっ!行っちゃってくださ〜いっ!・・・先輩にはまた会いにきますね❤︎」
こうして嵐のように過ぎ去っていた彼女は、いつの間にかエントランスにはいなかった。
「なんなんだ・・・」
「任せてそーくん、次会った時は容赦無く殺すから」
そ、それはそれでどうかと思うけど・・・
「あと、さっきは私のこと無視して他の女と話してたよね?」
「いや、それはさっきの突きで両成敗なはずじゃ───」
「まだ足りない」
`ツンッ`
「ああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
まさか同じ中学校だったとは・・・あいにく全く記憶にないけどこれからも絡んでくるならかなり警戒した方がいいかもしれない・・・
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