第329話2週間2人きり
「────っ」
目を覚ますと俺の右隣に初音が可愛らしいパジャマを着て俺に抱きついて寝ている。この寝顔だけを見てるととても怖そうな雰囲気はない。
俺は初音を起こさないようにゆっくりとその抱きついてきている手から抜けようとするも・・・
「・・・っ!?」
力が強すぎて全く抜けることができない。
「そーくんは・・・私の・・・離さない・・・よ・・・」
寝言が今の俺の状況とリンクしすぎてて怖いな・・・
「なっ・・・!ちょっ・・・」
初音の手が俺の・・・所謂股と股の間の部分に当たった。多分寝返りを打とうとしてたまたま当たっただけなんだろうけど・・・
俺はすぐに抜けようとするも、全く力が抜ける気配がなかった。試しにもう一度初音の方を見てみると、今度はぱっちりと目を開けた状態の初音が笑顔で俺のことを見ていた。
「起きてたのか!」
「うん、寝たままどさくさに紛れて色々しようと思ったけど・・・それじゃ満足には楽しめないからね♪」
こっちはそんな楽しみを期待してない・・・
「まあでもどちみちそーくんは下半身動けないのと一緒なんだから、逃げられないんだけどね〜」
そうだった、あまりにも現実感がなかったけど、俺は今両足を負傷してるんだった。今日から学校に向かうだけでも一苦労しそうだ。
「あっ、今日からそーくんは学校行かなくていいからね?」
ここで初音から衝撃的な発言が繰り出される。
「・・・え?なんでだ?」
当然疑問に思った俺はそう口にする。
「だってそんな状態のそーくんのこと外に出してもしこれ以上何かあったら私・・・だから、そーくんは家から出ちゃだめなの」
初音なりに俺のことを心配してくれた形らしい。
「もちろん私も学校には行かないから安心してね!」
「・・・えっ」
「これから7月初週末まで家庭の事情とか言ってちょっと色々細工して出席日数とかに影響しないように学校休めるから、そーくんは怪我が思ったよりも酷いってことで課題だけ出される形になったよ?」
そんなことまでできるのか・・・
「だから、ずっと2人きりだよ、そーくん❤︎」
「・・・・・・」
いや、別に嫌なわけじゃない。彼女と2人きりという響きはものすごく美しいものだろう。が・・・両足を負傷して満足に動けない上に隠し事をしていると疑われていて何をされるかわからない初音と2週間近くずっと2人きりっていうのは・・・骨が折れるな。
・・・怪我人ジョーク。
「それにしても下半身全く動かないの?」
「いや、全く動かないわけじゃない」
全く動かないなら松葉杖があっても意味ないしな・・・
「そっか、よかったぁ、じゃあ腰は振れるよねっ!」
「・・・・・・」
やっぱり今からどうしても学校に行きたいとか言って学校に向かった方が言いような気がしてきた・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます