第328話初音の女の子の日

「あ〜・・・やっちゃったぁ〜・・・」


 私は自分のベッドの上で顔を隠すように布団をかけて項垂れていた。理由はもちろんついさっきそーくんに対して非道を行なってしまったこと・・・


「でも、そーくんもデリカシーがなかったし・・・」


 彼女が不機嫌な理由を容易に聞いてくるなんてそーくんもそーくんで問題はあったと思うし、今は反省してもらうしかないよね・・・

 今まで女の子の日ってあんまり意識したことなかったけどそーくんが足に大怪我したせいで精神的に不安定になって痛みがすごい・・・


「でもでもっ、やっぱりそーくんもデリカシーがなかったし・・・」


 それに本当なら林間学校の夜でいい感じにそーくんのことを誘導して人のいない部屋で初めてを遂げようとしてたのに・・・でも私も苛立ちをぶつける相手を間違えちゃったなぁ・・・なんでそーくんにあんな酷い態度取っちゃったんだろ・・・


「あいつ・・・」


 これも彼も全部あいつがいなかったらうまく行って今頃私とそーくんはお互い初めてを遂げたことによってもっともっと深く愛し合えてたのに・・・


「本当に邪魔・・・」


 何度払ってもなんでもくっついてくる・・・あいつは私のことを虫って言うけど何度払い除けてもやってくるあいつの方が虫に近い。

 無駄に贅肉があるせいで脳の一部がその肉を補うためになくなってそのせいで頭がおかしくなったのかな・・・

 私はおそらく一歩も動けていないであろうそーくんの元に向かった。

 すると案の定・・・


「は、初音、その・・・さっきは悪かったから、この手錠外してもらえないか・・・?」


 そーくんが私に懇願するように上目遣いでお願いしてくる。意図的に上目遣いになってるんじゃなくて私が立っててそーくんが膝をついてるからそうなってるだけなんだけど・・・それにしたって・・・

 そんな目で見られたらゾクゾクしてくるよっ・・・!


「どうしよっかなぁ」


 私は今はもう特に痛みとかも治まってきて全然不機嫌じゃなかったけど、あえて不機嫌を演じることにした。私のそーくんプロファイリングでは、そーくんは私が不機嫌になっている時に多少自分にリスクがあることでも代償として提示してくることがある。それを狙う・・・


「えっ・・・」


 そーくんの顔がわかりやすく引き攣った。うんうん、そういうわかりやすいところも大好きで可愛いよっ!

 でも私はもちろん見逃してない。そーくんの膝と太ももあたりがさっきから少しだけ動いていることに。


「トイレしたいの?」


「・・・そうです、トイレしたいから手錠を外してください」


 そーくんは観念するように言った。そーくんのこの観念の早さは、私が躾した成果が大きい。最初の方はそーくんも負けじと粘ってたけど、最近は諦めるべきところは素直に諦めてくれて、本当にありがたい。私に従順でいてくれるなら私も何も文句はない・・・けど、ちょっと前からずっと引っかかってることがある。


「・・・それなら外してあげてもいいけど、一つだけ聞かせて?」


「・・・なんだ?」


「・・・本当に私に隠し事してないんだよね?」


 私はすぐにそーくんの全身を事細かに観察した。少しでも動揺があればすぐにわかるように・・・


「ま、まだそんなことを言ってるのか・・・な、無いに決まってるだろ・・・」


「・・・そう、もし隠し事してた時の約束、覚えてるよね?」


「も、もちろん・・・」


 この約束っていうのはもし隠し事してて後でわかったらそーくんのことを問答無用で性的に襲うということ。そして、私はそーくんが隠し事をしていることを確信した上で、この提案をした。

 つまり、そーくんの隠していることさえ暴き出せば、そーくんに隠し事をしていたことの罪悪感と、約束という名の下に、そーくんが心身ともに抵抗できない状態で存分にそーくんを味わうことができる。

 これだけは逃さない。絶対に。

 私はそーくんの隠し事をどうやって探るか計画した後で、そーくんの隣でそーくんに抱きつくように睡眠を取ることにした。

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