第322話初めての大怪我
「─────」
「────────っ」
目を覚ますと、そこは知らない天井だった。ライトノベルとかの冒頭でよく使われるような表現だけど、本当に知らない天井だった。
ラノベとかと違うのは白い天井じゃなくて薄茶色だったことだ。こういうのは大概白い天井が定番だろ・・・まあいいか。
あたりを見渡してみるも、特に誰かいる様子はなかった。っていうかここはどこだ?なんかカーテンとかされて白いベッド・・・保健室みたいだな。
とにかく俺は状況が掴めないのでいつものように立ち上がろうとするも・・・
「な、なんだこれ!?」
俺の足は白いものでぐるぐる巻きにされていた。包帯とかテーピングとかの類だと思う。
「あ、起きましたか、最王子君」
部屋の外から天銀の声が聞こえる。天銀がカーテンを手で手繰るように引くと、俺の隣にある小さい椅子に座った。
「気分はどうですか?」
「どうって言われても・・・」
別に特段悪いわけじゃないけど足が今までに感じたことのない痛みだ。特に左足が。
「良くはないでしょう、右足は捻挫で済みましたが左足は骨折に近い状態らしいです」
骨折に近いってことは骨折までは行かなかったってことか・・・って、え?捻挫と骨折って大分重症な気がするんだけど・・・っていうかこんな大きな怪我するのは初めてだ。今まで大きな怪我をしたことがないのが俺の数少ないブランドの一つだったのに・・・でもなんでこんな大きな怪我をしたんだ・・・?
少し記憶を探ってみる。
「確か結愛が落ちてきた気がする・・・」
「はい、このことについて白雪さんと桃雫さんがつい先ほど教師の方に怒られていて、つい先程までここにいたのですが、「死んでくるね」と言葉を残し、どこかに行ってしまいました」
「なるほど、そういうことか───え?死んでくるね?」
「はい、まあ冗談だとは思うので軽く流しておきましたが────」
「冗談なわけないだろ!初音は多分本気だ!」
天銀の洞察力を持ってしてもまさか本当に死ぬわけがないと思ってるのか。まあ探偵として死にも触れてきたからこその意見とも言えるけど・・・初音は本気で死ぬ可能性が高い。
「とりあえず最王子君も目を覚ましたので僕は白雪さんたちに報告しますね」
そういうと、天銀はスマホを出して、どこかに連絡しだした。
「白雪さんですか?最王子君が目を覚ましま────切れてしまいました、おそらくすぐにでもこちらに向かってくるでしょう」
まさか天銀と初音が連絡先を交換していたとは・・・
「あ、連絡先を交換しているのは最王子君が目を覚ましたら連絡して欲しいとのことで交換しただけです」
なるほど、そういうことか。程よくして初音が俺の隣にまで寄ってきた。
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