第320話林間学校の日常
その後は一度全員部屋に戻らされて自由行動になった。
外に出でもいいし部屋の中で過ごしていてもいいらしい。
俺の部屋の天銀以外の男子は元気がいいのか外に遊びに行った。
俺は絶対外になんて行きたくないな・・・暑いからって言うのもあるけど何より虫がいる。
林間学校なんtね虫嫌いからしてみれば地獄のイベントでしかない。
「・・・・・・」
天銀はと言えば大人しく本を読み始めた。
タイトルから見る限り推理小説みたいだ。推理小説なんて読んだことがない・・・
「たまにはこうして静かにするのもいいな」
思えば今のこの時間はここ最近で1番静かな時間だ。
家にいる時や学校にいるときは何かしら絶対に起きてたしなんなら家の外でも騒がしかったぐらいだ。
だからこそこの静かな時間を大切に────
`バタバタバタバタ`
部屋の外からものすごい勢いで走っている音が聞こえる。まさに猪突猛進って感じだ・・・元気があるのはいいけどそう言うのは外で───
`バンッ`
俺たちの引き戸が強く引かれた。
大砲でも打たれたんじゃないかと一瞬心臓が止まったかと思うぐらいだった。
俺はその大砲の音───じゃなくて引き戸が引かれた方を見てみるとそこには初音と結愛が2人いた。・・・って!
「なんでこんなところに来てるんだ!」
「別に自由時間だからいいでしょ?むしろなんでそーくんは来てくれなかったの?私10分ぐらい待ってたんだけど?」
自由時間とは言え女子の部屋に行く勇気なんてあるわけがない。
「いや、その・・・ごめんなさい」
もはや今までの経験から言い訳なんてしても無意味だと悟る。
ただ、俺が今本気で考えないといけないのは夜のことだ。
初音になんか夜に俺が会いに行くとかって勘違いされてたけど、その勘違いは今も健在なのかどうかがわからない。
なくなっていてくれたら俺としてはありがたいけど・・・
でも初音はそのことに関しては一切触れて来ないあたりもう忘れたってことでいいだろう。
「はあ、仕方な───」
俺と目を合わせていた初音が視線を逸らして静観を決め込んで読書をしている天銀の存在に気づいたようだ。
「・・・2人で何してたの?」
「何もしてない!」
最近初音が俺のことをそういう変な世界に言ってしまうんじゃないかとかなり警告してくることが増えた。
天銀は女子だけど仮に本当に男だったとしてもそんな世界に行くわけがない。
「・・・あれ、結愛はどこに───」
いつの間にか初音の隣にいたはずの結愛の姿がなくなっていた。
ちょっと部屋を見回してみると結愛が俺の荷物を漁っているのがわかった。
「わぁ・・・そーちゃんの服と下着と日用品がこんなにあるなんて宝の山だね〜♪」
「何してるんだ!」
俺がそう言う前に初音が結愛の方に駆け寄る・・・いや、刺すぐらいの勢いで結愛の方に突撃して結愛もそれを左手であしらって大乱闘が始まった。
「・・・静かな時間は来ないのか・・・」
俺はたまには静かな時間も欲しいと願うことしかできなかった。
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