第317話初音と夜に・・・?

 とうとう今日から林間学校だ。人間関係に関しては嫌なことしかないだろうけど、行事そのものは楽しいのかもしれないと期待している。

 ・・・正直林間学校なんて絶対に虫がいそうで嫌だけどこれは仕方がない。

 そして人間関係に不自由が無さそうな初音の様子はと言えば───


「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・行きたくないぃぃぃ」


 と、ここ最近ずっとこんな調子だった。あの初音がここまで取り乱すなんてと思って前になんでそんなに行きたくないんだとそれとなく聞いたら「そーくんと離れ離れになるから」とか言ってその後に「いっそのことそーくんも女になっちゃう?」とさらっと付け加えられた。

 最後の一文は冗談と受け取るにしても離れ離れって言うほど離れ離れになるわけじゃない。

 夜とお風呂の時と寝る時ぐらいだ。それ以外は基本的に全生徒同じだ。

 それが初音にとっては辛い物らしい。

 が、俺が抱えている問題はまだある───天銀だ。

 もちろんいてくれてありがたいとは思ったけど、よく考えてみると少し厄介なこともある。ご飯の時や寝るときは問題無いにしろ、お風呂の時にどうするか、だ。

 天銀のことだから何かしら考えているんだろうけど、普通に考えたらそれこそ本当に犯罪になってしまう。こればかりは依頼だなんだと言う言い訳は通用しないだろう。それにしても・・・


「うわあああああぁぁぁぁぁぁぁんんんんん!」


 今生の別れってわけでも無いのにすごい泣きようだ・・・俺は初音を慰めるように言う。


「べ、別に二度と会えなくなるわけじゃないんだしそんなに思い詰めなくてもいいんじゃないか?」


 俺のそんな言葉はむしろ逆効果になってしまったらしい。


「は?何言ってるの?2日で総算して20時間は会えないんだよ?それとも何?そーくんが夜な夜な会いにきてくれるの?」


「・・・え?」


「そう言うことだよね!二度と会えなくなるわけじゃないっていうのはそーくんが私に会いに来てくれるからってことだよね!」


「ちょっ、ちょっとま───」


「楽しみにしとくね!私もできるだけ部屋の入り口に近い方にいるからね!」


「・・・・・・」


 逆効果どころか最悪の展開だ・・・ここで拒否しないと後で絶対に後悔するんだろうけど、生憎今の俺にはそんな勇気はない。未来の俺に任せるとしよう。


「はぁ・・・林間学校の夜、夜な夜な2人で・・・えへへ・・・❤︎」


「・・・・・・」


 やばい、もうすでに今拒否しなかったことを後悔してしまっている自分がいる。数秒前の俺を恨むことにしよう、

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