第305話結愛の冗談
「ねえそーちゃん」
初音がトイレに行っている間にその隙を突くように結愛が話しかけてきた。
「な、なんだ?」
「私たちって幼馴染でしょ?」
「ん?ああ」
今更何を言ってるんだ。それはもう分かりきってることなのに。
「だから、そーちゃんが私のことを恋人として見れなくても仕方ないなぁって最近思うようになったの」
「そ、そうなのか!?」
もしそれが本当ならこれからは友達として結愛と関わることができる。友達としてならこれ以上信頼のおける相手もいないだろう。
「うん、だから恋人とかじゃなくて良いから、体の関係だけでも持たない?」
前言撤回、全然わかってない。なんなんだ、最近みんなそういう感じのことを言ってくるな。ちょっと気になってみたら本当に6月の気圧の変化とか湿気とかのせいで精神的に色々と変化が現れることがあるって書いてたけどここまで効果があるのか、参ったな。
「持たない!」
「えー?そーちゃんだって興味ないわけじゃないでしょ?」
そう言いながら結愛は自分の胸を俺に押し付けてきたり、自分の胸を俺の目の前で揉んで見せた。そんなことをしても無駄だ!
「興味ないわけじゃないけど少なくとも結愛とそんなことするつもりはない」
「高校2年生にもなって女の味を知らないなんてそーちゃん遅いな〜」
「・・・え?」
「今のうちに女の味を知っておいた方がいいと思うんだけどな〜」
落ち着け、これは俺のことを焦らせてその勢いでそういうことをさせようとしているんだ。別に焦ることはない、平均的に言えば20歳ぐらいが普通らしいし、こんな挑発に乗る必要はない。
「別に幼馴染なんだしそんな深く考えなくてもいいと思うよ?昔一緒にお風呂にだって入ったんだし、そーくんの可愛いアレだって私は見てるんだよ?」
「それは昔の話だ!今は別に可愛いなんていうぐらい小さくなんてな──あっ・・・」
しまった・・・
「へえ〜♪それは是非是非久しぶりに一緒にお風呂に入ってみたみたいな〜」
「いいわけないだろ!」
思いっきり結愛のペースに持って行かれてしまった・・・
「な〜んてね、冗談だよー♪幼馴染なんかで止まれるわけないじゃん」
いきなりおかしいと思ったけど冗談だったのか・・・初音とか霧響とかがおかしくなったからその一連の流れかと思ってしまった・・・
「ちゃんとあの虫からそーちゃんのこと奪ってあげるから、それまで待っててね」
そう言って、結愛は自分の席に戻った。・・・目の前だけど。
「ただいまー、そーくん」
「あ、ああ」
先が思いやられるにも程があるな・・・
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