第296話初音からの呼び出し
放課後。俺は机の中にいつの間にか入っていた手紙に校舎裏に来てくださいと書かれていたので、こっそりと向かうことにした。初音には悪いけど、浮気は絶対にしないという確信を自分で持っているからこそ初音には相談しなかった。俺はそんな決意を胸に、校舎裏へと向かう。
道中、少し考えてしまう。手紙を貰ったら当然考えてしまうことだ。相手は誰なのかと。最近俺が会った女子といえば霧響と結愛と天銀と、休み時間に少し月愛ぐらいだ。その中の誰かなのかと思いながら校舎裏に入ると、全く予想だにしていなかった人物がそこには真っ直ぐしながら腕を組んでいる初音の姿があった。
「は、初音・・・?なんでここに・・・?」
「へえ、私になんの連絡も入れずに本当に来るんだ〜」
初音は「ふ〜ん」と言った感じで見てきた。
「ま、待て、これは絶対に浮気をしないという意思表示のためだ、変にそんな情報を言うと浮気を疑われかねない」
「だとしても、告白される気配があるなら一言ぐらい相談すべきじゃない?」
「・・・それは、悪かった」
俺は来て数秒で謝らされることになった。っていうか手紙の相手は初音だったのか。これで俺に彼女がいなくて初音の本性も知らなかったら最高なんだろうけどついた、あいにく俺には彼女がいてしかもしれは初音で初音の本性を知っている。そして、恋人間で校舎裏に来る理由がわからない。
「恋人間で校舎裏に来る理由がわからない、って顔してるから教えてあげるね」
毎度毎度的確すぎるな。
「単純だよ?校舎裏って人気がないでしょ?だから」
「・・・え?だから、って・・・」
人気がないところでするようなことをするつもりなのか・・・?
「今、ここでそーくんを犯す」
「・・・は、は!?何を言ってるんだ!?」
「最近私に構ってくれる頻度が下がった」
「えっ、そんなことないと思うけど・・・」
「今までは1日にそーくんとの会話を84回はしてたのに、今は78回に減っちゃったの」
6回だけだろ・・・っていうか前まで84回も話してたのか。今も78回って、相当話してるな。浮気を疑われないためにできるだけ初音に話しかけられたら応えるようにしている。俺から話しかけたりもする。
「そんなに大差なくないか?」
「あるよ、原因は何?やっぱりあいつ?」
「・・・あいつ?」
「天銀」
確かに天銀とは最近割と話すようになったけど俺からしたら明らかに初音といる間の方が長い。
「まあ、確かに天銀とは話してるけど、初音といる時間の方が明らかに多い」
「それは当然、彼女なんだもん、今までは男だからっていう理由で見逃してきてたけど、これからはちょっと接触控えてね」
それだけ言うと去っていった。結果だけ見ると忠告されたぐらいで終わったけど、こんなことは初めてだ。俺が男友達がいないっていうのも関係してるんだろうけど、男関係で初音にここまで言われたのは俺の記憶では初めてだ。
「・・・相当きてるな、これは」
もし初音が天銀のことを女性だとしれば男だと思ってる今ですら、俺は犯されそうになったんだ。心臓を刺されてもおかしくない。
「・・・本当に注意しないとな」
俺は初音の後を追うようにして、帰路についた。
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