第280話 総明の降参
「・・・降参だ」
「え?なんですか?」
「降参だ、謝るから早く俺のことを上げてくれ」
もう精神的にも体力的にも限界だ。特に体力的に・・・
「そんな言い回しではなくちゃんと「霧響に逆らってごめんなさい」と言ってください」
「・・・霧響に逆らって、ごめんなさい・・・」
「はい!仕方ないですね❤︎」
霧響はこれまた俺のことを片腕で持ち上げると、一気に俺のことをテラスの上に引き上げた。全く、その細い腕でどうやったらそんな腕力が出るんだ。
「はあ・・・はあ・・・」
もうだめだ、腕が動かない。初音は今学校だろうから助けを呼んでも無駄だろうけど、一応助けを呼ぼ───
「あれ、スマホがない!」
ポケットに入れておいたはずのスマホが・・・まさか!
「そんなもの私が回収しているに決まってるじゃないですか♪」
読まれてたのか・・・まずいな、連絡できないなら助けは来ない。
「では次は・・・そうですね、私の下着を見てください」
「・・・・・・」
「何嫌そうな顔してるんですか?」
「そ、そんなことない・・・」
俺はほとんど何も置いてないリビングに連れて行かれた。そして霧響は下着をリビングの床いっぱいに置いた。
「こ、こんなに下着なんて持ってたのか・・・」
「はい♪もちろん全てお兄様に見てもらうためですよ❤︎」
今世紀最大に嬉しくないな。
「お兄様は何色の下着が好きですか?」
「・・・・・・」
「・・・何色ですか?」
「・・・し、白色か、く、黒色・・・」
なんで妹のこんなこと言わないと───危ない、なんか知らないけどたまに心を読まれるから心の中でも霧響を妹扱いするような発言はしないようにしよう。
「なるほど、白か黒ですか、真反対ですね」
「ま、まあ・・・」
「もしかして私でもそんな想像してたりしてるんですか?」
「そんなことしてないから安心して───」
「何か言いましたか?」
「ん?いや、だからそんな想像なんてしてないから安心して───」
「もう一度言ってください、よく聞こえませんでした」
「・・・・・・」
もしかして俺がそんな想像なんてしてないって言うのを言わせないようにしてるのか?意味がわからない。それじゃあ俺でそんな想像をしてほしいみたいな感じになる。霧響はそこまでやばいやつじゃな───やばいやつだった。
「いや、なんでもない」
「はい、では私に御所望の下着があれば何か教えてください」
「は、は?別になんでも───」
「何か御所望の下着があれば教えてください」
あれ、おかしいな。時間がループしてるのかと思うぐらい全く同じトーンで話してきた。これは俺が何かしら下着を言わないと進まないやつだな。
「じゃ、じゃあ白・・・」
「はい!わかりました、ではそこに白色の下着があるので私のことをお着替えさせてください」
「・・・はい?」
もはやこれは一線を超えてるだろ・・・
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