第263話混浴
「わあ・・・」
わあ、とか久しぶりに行ったけどこれはすごいな。あの初音と一緒に住んでる家のお風呂も相当すごいけどやっぱりちゃんとした温泉を見たら家のお風呂と温泉の差を理解できるな。正直お風呂と温泉の差がわからないぐらいあの家のお風呂もすごいけど温泉もやっぱりお風呂には全く見劣りしない。むしろさすが本場といった感じだ。
「霧がすごいな・・・」
温泉って実際こんなに霧が出るのか、アニメとか漫画の演出だと思ってた。いや、霧響じゃなくて湯気なのか・・・?どっちでもいいか。
「軽く体を流してからお風呂に浸かろう」
俺は基本的には体を洗ってからお風呂に浸かるタイプだ。たまにいきなりお風呂に浸かる人とかもいるけど俺は体を洗ってから浸かるタイプだ。
「・・・あっ」
霧でよく見えないけど誰かが先にシャワー場にいるな。
「まあ無視でいいか」
俺はその人からちょっと離れた場所にあるシャワーに向かっ────
「あっ、そーくんやっと来たよー」
「・・・え?」
俺は左右を交互に見た。
「・・・はあ、なんだ幻聴か」
まあここはお風呂の中なんだし声が聞こえたとしても女湯の方からだろう。
「もうー、なんで無視するのー?」
「えっ・・・!?」
目の前に全身に白いバスタオルを巻いた初音が霧の中から現れた。・・・って!
「なんで初音がここにいるんだ!ここは男湯だ!いくら初音でもそんなことは────」
「ここ男湯じゃないよ?」
・・・え?
「な、何いってるんだ、俺は確かに男性マークの方から入った────」
「脱衣所だけ違うだけでここは混浴なの」
「・・・・・・・」
なんで脱衣所だけ違うんだ!いや、まあ脱衣所だけ違うのはまあ色々あるからそこは水に流すとして・・・
「なんで混浴のところに来たんだ!?」
「混浴じゃないと温泉に来る意味なんてないよ、そーくんと入れないじゃん」
俺とお風呂に入るためにわざわざこの温泉に目をつけてたのか・・・
「お、俺は出る!」
大人ならともかく高校生が混浴に入る勇気なんて俺にはない!
「へえ、そんなこと言うんだー・・・」
ピタッと俺の足が止まる。
「そもそもこの温泉にそーくんが来た理由は私のそーくんへの愛を侮辱したからで、それを払拭するためにそーくんはここに来たんだよね?」
「うっ・・・」
「なのに逃げちゃうなら餌付けだよ?」
餌付け・・・それならまだ今我慢する方がましな気もする。
「に、逃げたりしないって・・・」
「そうだよね♪そもそもなんで今更お風呂ぐらいでそんな動揺してるの?」
「お風呂ぐらいって・・・」
毎度毎度思うけどこういうのって逆だと思う・・・普通は彼女の方がお風呂なんて恥ずかしいよ的なことを言うっていうのが俺の知ってるラノベとかだとベタな展開なんだけど初音にはそれがない。羞恥心というものがないのか・・・
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