第262話温泉に行く

 今日はもう早くも休日、そして────


「そーくん、温泉行くよ!」


「は、はい・・・」


 俺としては唇の皮を剥がれたからその話は無かったことになってると思ってたが、どうやらそうではないらしい。温泉に行くことはもう最初から確定で皮を剥いだのはプラスだったらしい・・・皮を剥ぐとか言うのもうやめよう、なんかその単語だけでえぐい。


「お兄様っ!今度は私も行きますからねっ!!」


 霧響は先週のこともあって半分意地なのかわからないけど、どこで聞きつけたのか準備万端できている。


「・・・はあ、初音、いいのか?」


「んー、まあ裸の付き合いっていうのも将来的に兄弟になるんだし、こういうのもたまにはいいと思うよ?」


 それを言うなら初音が真っ先に誘う相手は師匠だろ・・・まあなんか前に師匠に初音が師匠に冷たい的なことを言ったら師匠が「昔より全然構ってくれてるしこのぐらいの方がちょうどいいよ♪」とか言ってたけど、昔はどんなだったんだ・・・そうえいばこれも前に師匠が俺と会う前の初音は今よりもっと怖かったとか言ってたけどどんな感じだったんだろう・・・


「何、そーくん浮気相手のこと考えてるの?」


「考えてない、それに浮気相手もいない」


 こんな鋭利な感じで怖い初音よりさらに昔の方が怖かったって、本当にどんな感じだったのか気になるな。今度師匠に聞いてみよう。


「へえ、考えてないってことだけを言うと浮気相手がいることを否定できないけど、それを後から付け加えて浮気してないですよってこと?」


 ほら、これより怖かったとか絶対に嘘だ。


「まあ、そろそろ行かないと日帰りできないし、早く行こっか」


「はい、そうですね」


 そして俺たちは家を出て電車に乗って何駅か電車を乗った後にバスに乗って温泉の前まで移動した。乗り物酔いには厳しいものがあるけど俺は幸い電車とバスは車ほどは酔わない。まあなんか椅子のシーツの匂いとか籠った感じの匂いとかで酔うことはあるけどこれは酔う人にしかわからない感覚らしい。


「あっ、着いたよー」


「おお・・・」


 思ったよりもちゃんとした温泉っぽい感じだ。そして入り口に入り靴を木箱のロッカーのようなものに入れ、鍵も木製のあの長方形の温泉とかでよく見るやつだ。


「あっ、じゃあそーくん、私達こっちだから」


 そして霧響は女性マークの方に入っていった。そして俺も男性マークの方に入っていった。


「・・・あれ?」


 変だな、広い脱衣所の中にはほとんど誰もいない。まあちょっとだけいるけど小さい子供ばかりだ。


「入るところを間違えたのか・・・?」


 俺は入るところを間違えてしまったのかもしれないという焦燥感にかられながら脱衣所の外に出たがやっぱり男性マークだった。


「んー、休日で人が少ないとか?いや、そんなわけないよな、むしろ休日だったら人多いはずだし・・・」


 わからないことを考えても仕方ない、早くお風呂に入ろう。なんかポスターみたいなやつを見た感じ露天風呂とか普通のお風呂とか色々あるらしいから楽しみだ。


「・・・・・・」


 でも、俺はその露天風呂という神秘的なものに目を惹かれていてこの時は気づいていなかった、その横に`混浴`という文字があることに・・・

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