第258話拗ねる霧響

「は、ははっ・・・」


 俺は今苦笑いをしている。なぜそんなことをしているのかと言うと・・・


`むすぅー・・・`


 なぜなら初音が玄関でむすっとしているからだ。そしてその理由は明白で・・・


「なんでそんな神社に行っていたなら私も誘ってくださらなかったのですか!」


 と言うことだ。俺も道中に入るまでどんな神社に行くか知らなかったから特に何も言わなかったけど、その神社が縁結び神社となれば、やっぱり恋人同志の二人だけで行きたかったんだろう。


「なんでって、今日行ってきた神社は縁結び神社だから、霧響ちゃんには関係ないの」


 言い方がきついな・・・


「なっ・・・!え、え、え、縁結び!?」


「うん、だから霧響ちゃんには関係無────」


「ありますよ!余計になんで呼んでくださらなかったんですか!?」


 霧響が標的を俺に変えて言った。


「い、いや、俺も神社に行くっていうのは知ってたんだけど、縁結び神社とは知らなくて・・・」


「だとしてもっ!神社に行くと知っていたなら私に一声かけていただいてもよかったのではないですか?」


「いやー、まあ、その・・・」


「そんないつもの誤魔化しが今の私に通用すると思わないでください!」


 いつもの誤魔化しって、俺いつも誤魔化す時そんなに「いやー、まあ」とか言って───るな、よしこれからは極力使わないようにしよう。


「ま、まあ今度一緒に行こう、な?」


「縁結び神社にですか?」


 キラキラとした目で見つめてくるけど初音の前で霧響と縁結び神社に行くとか言ったらそれはそれで火種になりそうだからやめておこう。


「まあ、それはわからないけど、とりあえず今度どこか着いて行くからそれで許してくれ」


「はい!」


 こうして霧響はなんとか気持ちを落ち着けてくれた。それにしても今日は神社に行ってよかったな。改めて色々と分かった気がする。初音の願い事に関しては俺にまつわるものしかないのに俺にできる事は何もないっていうなんか矛盾があったけど・・・


「はあ、なんか今日は疲れた、早く休もう」


 俺は自分の部屋に戻って少し時間は早いけど、眠ることにした。


「・・・え!?」


 あれ、おかしい、俺は今寝たばかりのはずなのになんでまた起きてるんだ?


「そーくん、ほら、早く!霧響ちゃんが待ってるよ!」


「え?あ、ああ・・・」


 霧響ちゃんが待ってるよ・・・?なんの話だ、っていうか普段の初音なら霧響と出かけるなんて────


「な、なんだこれは!?」


 ベッドから状態を起こすと本棚に俺の好きなラノベが一式揃っていた。って、こんなところを初音に見られたら────


「あー、この女の子可愛いよねー!私も見習わないとっ!」


「・・・え」


 おかしい、やっぱり何かがおかしい。俺は今、一体何を見ているんだ・・・

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