第256話縁結び神社
縁結び神社って・・・もう恋人同士の人が来るところなのか?
「ほら、私たちって恋人になったはいいけど結婚までが長いでしょ?」
いや、長くはないだろ。っていうか高校生で結婚なんてするわけがない。
「だから、早く関係が進むようにって思って、縁結びって呪術的習俗から成り立ってるらしいから効果は期待してもいいと思うよ!」
そんな明らかに呪いみたいなやつに縁なんて結ばれたくないな、むしろ悪化しそう。そしてお賽銭箱のところだけちょっと高く作られていて、4段ほど階段がある。4段とか、なんか縁起悪いな。いやまあ、そんなの気にしなくていいんだろうけど、縁結びっていうなら4とかちょっと縁結びが縁起悪いに変わりそうな感じの段数にしなくてよかったと思う。
「はい、そーくん、お賽銭用のお金」
そういうと初音は俺に10万円を手渡してきた。
「は!?お賽銭ってこんなにいらないだろ!っていうかお札じゃなくて小銭でやらないと!」
「えっ、あっ、そうなの?なら10万円を小銭にして一円を10万枚────」
「それはそれで神社の人に迷惑だ!」
1円10万枚とか新手のいじめだ。まあ、初音には悪気は一切なさそうだけど・・・
「私のそーくんに対する気持ちはこれだけじゃ足りないのに・・・どうすればいいの?」
「い、いや、そんなに落ち込まなくても普通にちょっとお金を入れればいいだけだから」
「・・・そ、そうだよね」
分かってくれたか。
「気持ちは量より質だよね!」
そういうことを言いたかったんじゃないけどまあよしとしよう。それにしても・・・
「思ったより人が多いな」
「それだけ人気があって本当に成功してる人が多いってことなんだよ♪」
そういうことなのか。それにしても周りにカップルが多いな。一年ぐらい前まではリア銃爆発しろとまでは行かないけど近いことは考えていたけど、いざ一年前の俺から見たリア充になってみるとリア充も大変だと思う。いや、思うじゃない、大変だ。まさか恋愛がここまで大変だなんて思わなかった。
「ほら、そーくん」
今度は初音に500円玉を10枚渡された。
「だからこんなにいらないんだって・・・」
ただお賽銭するだけで5000円も払うなんて払い過ぎだ。ラノベを何冊買えると思ってるんだ。
「これは最低条件だよー、私の気持ちは本当ならお札にしても神なんかにはわからないんだから」
神社で神様を愚弄するなんてなんて愚行なんだ。いや、まあ俺も神様を信じているのかと言われれば半信半疑だけどだからって神社で神様を貶めるような発言をする勇気はないな・・・
「じゃあそーくん、せーので入れて願い事しよ?」
「あ、ああ、分かった」
そして初音は俺の手に両手を添えた。
「じゃあ、いくよー!せーのっ!!」
初音がせーのと言った瞬間に、俺は手に持っていた500円玉を全て賽銭に投げ込んだ。そして俺と初音はほとんど同時に手を二回叩いて、手を合わせながら礼をした。今こそ願い事を言う時だ。えーっと、ね、願い事か。道中考えとけばよかったああああ!!どうしよう、えーっと、えーっと・・・
`初音から嫉妬を無くしてください`
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます