第250話霧響の誤解と失言

「なっ、なななっ、何してるんですか!?」


 霧響から見たらそうなるよな・・・っていうかこの状況は普通にやばい!


「待て、霧響!誤解す───」


「この状況で誤解も何もありません!どう考えても子作りをしようとしていたんじゃないですか!」


 やっぱりそう見えるのか・・・仕方ない、初音に援護を求めよう。


「初音、言ってやってくれ」


「うん、そーくんが部屋に入ってくるなり息遣い荒く私に「静かに!」って言ってきたの」


「ちょっと待て!!」


 なんだその明らかに誤解を生むような言い方は!確かに俺は急いで隠れたせいでちょっと走って息荒かったり初音に静かにしてくてとは言ったけど初音の言い方じゃ俺が欲求不満の変態みたいじゃないか!


「お兄様・・・?」


「ま、待て、初音の勘違いだ、俺を信じてくれ」


「・・・では今白雪さんがおっしゃったことは嘘なのですか?」


「いや、まあ、嘘ではないんだけど、言い方が悪いっていうか───」


「そんな過程なんてどうでもいいです!それにちゃんと否定しないと言うことはお兄様にも疾しいことはあると言うことです!」


 まずい、このままじゃ俺は変態扱いになってしまう。


「な、なんでもするから俺を信じてくれ!」


「・・・なんでも?」


「・・・・・・」


 しまった・・・俺の悪い癖だ。どうしようもない窮場に陥ってしまった時にとりあえずなんでもって言って逃れようとする。でもそのせいでいつも痛い目を見ている・・・


「・・・わかりましたっ!お兄様を信じますっ!」


 霧響がこれ以上ないぐらいの笑顔で言う。


「ほ、本当か───」


「でも、言うことは聞いてもらいます」


「・・・・・・」


「早速!そのタオルを剥がしてください!!」


「断固拒否だ!」


「・・・そうですか、では変態扱いでいいんですね」


「うっ・・・」


 妹に変態と言われるのは答えるものがあるな。あっ、もちろん俺はそんな変な青壁があるわけじゃなくて普通に心が痛いだけだ。


「へえ・・・この変態!人でな───・・・」


 それからしばらくして霧響は屈み込んでぶつぶつ何かを言い出した。


「私お兄様になんてことを、お兄様に対してへへへ、変態だなんて・・・そこらの有象無象に使うならまだしもお兄様にそんな言葉を使ってしまうなんて・・・そうだ、死にましょう、死んでしまえば罪も拭え───いいえ、それは甘えですね、本当に罪を償いたいのならちゃんとこの生をお兄様に捧げないと・・・」


 その後もしばらくぶつぶつ何かを言う霧響に俺は何を言うことはできなかった。そしてしばらくして・・・


「お兄様、失言いたしました・・・さっきの何でも言うことを聞くと言うのはおこがましいですが、私の失言を許してくださるということでお願いいたします・・・」


「えっ、あ、ああ・・・」


 そうしてなんか勝手に俺にとっては良い結果でこの騒動は幕を閉じた。

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