第248話霧響によるお着替え手伝い
おいおい、俺は今腰にタオル一枚なんだ、そんな状態でなんで人2人・・・しかも彼女と妹と話さないといけないんだ。でも今は風邪治りかけとのぼせかけのかけうどんができそうなぐらいかけかけなんだ。・・・しょうもないことを言ってしまった。
「今はそんな冗談に付き合ってる場合じゃない」
「・・・お兄様、約束しましたよね、少しの間妹扱いしないって」
「あ、ああ」
「では、前におっしゃっていた恋愛感情に発展することはないと断言したのはどういうことですか?私に魅力がないということですか?」
そこそんなに大事なのか・・・初音といい霧響といい毎度毎度爆弾的なものを持ってきてる気がする。
「魅力がないとかそういうことじゃないんだけど・・・」
「まあ、別に魅力的に感じてくださらなくてもいいんです」
「そ、そうなのか?」
「はい、最悪感情が伴っていなくても婚約さえしていただければ」
「は、はあ!?」
そういうのって普通逆じゃないのか?結婚なんていう形よりも感情の方が大事とかいうのをよく聞くんだけどな・・・
「感情なんてあとからでもいいんです」
「いや、だめだろ」
やばい、心の声が漏れてしまった。咄嗟にツッコミたくなってしまった・・・
「・・・なんですか?」
「な、なんでもな────」
「だめと言うのであれば今すぐにでも私のことを異性としてお好きになってください」
それは難しいものがあるな。
「は、早く着替えないとせっかく治りかけの風邪が吹き返すかもしれない」
俺は話題を変えるようにして手を動かした。が、霧響が俺の手を止めた。
「待ってください、私がお兄様をお着替えして差し上げるので、大人しくしていてください」
「・・・わかった」
「ではさっそく・・・」
そういうと霧響は俺の腰に巻いているタオルの結び目を解こうと───って!
「いいわけないだろ!何てるんだ!」
「何って、お着替えですが・・・?」
「下は自分で着替えるに決まってるだろ!」
ただでさえ高校生にもなって妹に服を着せてもらうなんて本当なら恥ずかしすぎるのにこれ以上霧響の機嫌を損ねないようにって必死なのに下半身まで任せられるわけがない。
「恥ずかしがってるんですか?」
「そんなんじゃない!!」
「・・・安心しました」
「あ、安心・・・?」
今の話で安心要素なんてあったのか?むしろ危険な話だろ。
「もし私が妹として見られているのなら私にお兄様の下半身を見られても恥ずかしがりもしないと思っていましたがちゃんと恥ずかしがって下さっているということは私のことを少しでも異性として見てくださっているということですよね」
「霧響・・・」
いや、そんなしんみりした感じで話されても妹でも高校生なら下半身を見られて何とも思わないわけがない、なんて言えない。
「まあ、それはそれとして・・・」
「ん?」
「やっぱり久しぶりにお兄様のお兄様を見たいのでその忌々しいタオルは燃やすことにしましょう!!」
「いや、燃やされたら俺まで燃えるからやめてくれー!!」
俺はのぼせるなんていうレベルじゃく、燃やされそうになって脱衣所から離れて自分の部屋に立て篭もり、何とかやり過ごした。
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