第230話初音と霧響の無限ループ

「まさか私以外の、それも恋人と恋人の下着を買いに行っていたなんて・・・」


「いや、俺の意向じゃないからな!?そこだけは勘違いしないでくれ!」


「別にそんなことはどうでもいいんですよ、ただお兄様が私を差し置いて他の女性の下着を買いに行っていたという事実が許せないんです」


「・・・・・・」


 どうなんだろう・・・一般的に見たら妹の下着を妹と買いに行くのと恋人の下着を恋人と買いに行くのはどっちがおかしいんだろう。俺の友達で唯一まともな月愛がいるけどまともだからこそこんなこと聞けるわけもない。まあ、どちらもおかしいことだとは思うけど。


「ま、まあそのことは置いといて、とりあえずフィギュアを──」


「いいえ、もとより返す気はなかったですが今の話を聞いて余計に返しません、さいあく没収ぐらいで済ませようかとも思いましたがこれはもう破壊してしまいましょ────」


「ま、待て待て待て、霧響!そ、そうだ、前に妹扱いしないで欲しいって言ってただろ?つまり今霧響が妹として怒ってるならそれは霧響から妹扱いして欲しいって言ってるのと同じになるんだぞ?」


 こう言う時だけそう言うのを使うのは卑怯かもしれないけど、今は一刻を争う。俺の唯一の癒しと言っても過言ではないんだ、全力で守るかもしれない。


「あっ、確かにそうですね・・・」


 霧響はどうやら一旦落ち着いてくれたようで考えを改めてくれた。そして──


「わかりました、申し訳ないですお兄様、これはお返しします」


「あ、ありがとう・・・」


 そして霧響が俺のフィギュアを返そうとしたけど、初音がそれを横から奪った。


「白雪さん・・・?」


「そーくん・・・」


「え・・・?」


 今度は初音が怒っている雰囲気になっている。全くなんなんだ、一難去って一難降るっていうのを体感している気分だ。


「さっきの霧響ちゃんを妹扱いしないってどういうこと?」


 また変なことを言ってしまった、誤解を解こう。


「別に変な意味じゃない、ただ友達して───」


「友達として・・・?」


 今度はまた霧響が怒りだした。


「お兄様、友達としてとはどういう意味ですか?」


 やばい、霧響を説得しようとしたら初音を怒らせて初音を説得しようとしたら霧響を怒らせてしまうって言おうループに入ってしまうかもしれない。どっちにもいい感じに、穏便に済ませることができる回答はないのか・・・無いな。


「友達としてっていうのはそういう意味じゃなくて───」


「そういう意味じゃ無いってどう言うこと?そーくん、まさか実の妹に恋愛感情を抱く予定でもあるの?」


「いや、そうじゃなくて───」


「そうじゃ無いってどういうことですか?友達扱いでも恋愛にまで発展する魅力が私にはなということですか?」


「・・・・・・」


 どうしよう、このままじゃ俺は本当に人生が詰んでしまう。


`ピンポン`


「えっ・・・」


 奇跡のピンポンが家中に鳴り響いた。

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