第229話霧響によるフィギュア責め

 俺が家のドアを開けると同時に玄関に声が響いた。


「お、か、え、り、な、さ、い、ま、せ!お、に、い、さ、ま!」


「う、うん・・・」


 なんか怒ってる気がするな・・・何をそんなに意気込んでるっていうかなんていうかになってるんだ?


「お兄様にちょっと尋ねたいことがあります!ついでに白雪さんにも!」


「なんだ?」


 尋ねたいことってなんだ?霧響が怒ってることと関係あるのか?


「お兄様の部屋のベッドの下でこんなものを見つけました!」


 と、霧響は俺が初音から命懸けで守ったフィギュアを取り出した。


「そっ、それは・・・」


「・・・・・・」


「これはお兄様のベッドの下にやたら堂々と置かれていたものです」


 なるほど、それで怒ってたのか、でも・・・


「妹に兄の趣味をどうこう言う権利は無───」


「そうですか、じゃあこれ壊しますね」


「───いわけがない、兄弟なんだから何か異論を唱えることに権利なんていらないよな、うん」


「・・・わかってくれればいいんです」


 またしても俺のフィギュアが人質に・・・あれ何気に高校生に程は結構頑張って買ったフィギュアだから壊されたりしたくない。ここは慎重に言葉選びをしよう。


「えーっと、だから、それは、その・・・まあ初音に一応許可をもらってるし・・・」


「そこですよ、そこっ!なんで白雪さんはこんなものをお兄様が所持することを許しているのですか!」


「んー、まあそーくんの命懸けの姿もかっこよかったっていうのもあるけど、まあ別にもうあの紙は切り刻んだし大丈夫かなって──」


「大丈夫じゃないですよ!殿方はこういうものを使って色々とするんですから!」


「変なこと言うな!何もしない!」


 まずいな、これはせっかく命懸けで守ったフィギュアが壊されてしまうのかもしれない。


「とにかく!こんなものはお兄様にとって害にしかなり得ません!」


「いやいや、害になんてなってないって」


「・・・まあ、別に残しててもいいことはないよねー」


「なっ・・・初音!俺はあの時なんでもすることを条件にフィギュアを守って俺はその条件で初音の下着まで一緒に買いに行ったんだ!それを───」


「白雪さんと・・・下着を?」


「・・・あっ」


 やばい、この場に霧響がいることを完全に忘れてた。


「つまり私と下着を一緒に買いに行く前に白雪さんとすでに下着を買いに行っていたのですか?」


「い、いや、違う、いや、違うくないけど、違う!」


「では今言ったことはなんですか?」


「そ、それはー、その・・・」


 これが`詰み`か・・・変なことを口走らなければよかった・・・

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