第231話総明なりのまとめ方

「・・・・・・」


「・・・・・・」


 二人は沈黙している。だが、俺としてはこの期を逃すわけにはいかない。


「初音?霧響・・・?インターホンが鳴ってるけど、出ないのか?」


「何言ってるの?そんな暇ないよ」


「そんなことどうでもいいです」


 どうにかして初音と霧響の気をそっちにそらそう。


「い、いや、でももしかしたら何か大事なことかもしれないし・・・」


「へえ、私より大切なことがあるの?」


「私より大切な御用がお兄様には何かお有りで?」


「そ、そうじゃないけど、とりあえず出てみて損はないだろ?」


「損得の話じゃないんだけど?」


「お兄様を詰問するという貴重なお時間が失われてしまうという損がありますが?」


 だめだ、これは何を言っても俺のことを逃れさせてくれる気はないみたいだ。こうなったらちょっと作戦を実行に移そう・・・


「な、なあ、このままだと収拾がつかなくなるから、一旦一人一人で話さないか?」


 初音と霧響を分断できればうまく誤解を解ける。・・・誤解じゃないこともあるけど。


「それは私たち二人がいると矛盾が生じてしまうから、ということですか?」


「そ、そうじゃないんだけど・・・」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


 気まずすぎる、気まずさだけで言えば過去一かもしれない。


「えーっと、わかった、今の俺の意見をまとめると、まず霧響のことは妹扱いしないとは言ったけど決して浮気はしない、で初音と下着を買いに行ったのはそのフィギュアを守るために俺がなんでも言うことを聞くって言ったからだ、ど、どうだ?」


 今俺ができる限りのまとめ方をしたはずだ。あとはこれで通じてくれるかどうかだ・・・本当に二人とも国語とか古文とかの読み取りは得意なのになんで心情的な話になるとたまに大きく読み外すんだろう・・・


「・・・なるほど」


「・・・納得しました」


 よかった、納得してくれたみたいだ。


「ですが、どちみちお兄様が私に隠し事をしていたことは事実です」


「私にも隠し事をしてたんだよね?なら・・・」


「「然るべき処罰を」」


「えっ・・・」


 その後のことは言うまでもなくただただ地獄だった。何も思い出したくはないし、何も言いたくない。


「・・・そういえば」


 結局あのインターホンはなんだったんだ?俺は初音に厳重にチェックされてるから何も頼んだりはしてない、っていうかできない。だとしたら初音が何か頼んだのか?さすがに霧響がこの一日で何かを頼んだとは考えずらい。


ー???Partー


「留守・・・」


 本番の前に少し情報を得ておこうと思ったけど、そううまくはいかないな。明日から浮気調査の始まりだ、朝から。


「・・・・・・」

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