第223話月愛の冗談

 学校に登校した瞬間に初音が「ごめんね、生徒会で話さないといけないことがあるから」と言って生徒会室に向かった。俺はそこで「俺は行かなくてもいいのか?」と一応生徒会に入っている俺としては不安だったけど初音が「うん、私がそーくんの分も出てくるから大丈夫だよ、そーくんに俗事なんてさせられないしね」と言って俺のことを教室に向かわせた。


「はあ・・・」


 俗事ってなんなんだよ俗事って・・・普通に高校生してて俗事なんていう言葉出るのか?


「とりあえず教室に向かうか・・・」


 俺は教室に向かい、教室の中に入った。すると、そこで目に入ったのは一人だけ明らかに浮いている月愛の姿だった。


「・・・・・・」


 なんか久しぶりな気がするな。ゴールデンウィーク明けだからっていうのもあるだろうけどそれ以前も初音の監視が厳しすぎて全然話せなかったからっていうのもある。俺としては浮気とかそういう話じゃなくて単純にまともな友達としていっぱい話したいんだけど・・・初音にしてみてはそれも浮気になるんだろう。


「初音はどうやったらわかってくれるんだろうなあ・・・」


 伝えることを諦めたら終わりだから極力初音にも友達と恋人の差を知って欲しいと思う。


「初音がいない今のうちに・・・」


 なんか初音から隠れて浮気してるみたいな文脈だけど、俺はただ友達に会いに行くだけだ。それをこんなこそこそさせているのは初音の方だ、俺は悪くない・・・はずだ。


「月愛!久しぶ───」


「誰だったからしら、忘れてしまったわ」


「は!?まさか、ゴールデンウィークのせいで!?」


「冗談よ」


 そんな真顔で冗談を言われても困る・・・ポーカーフェイスだけでいうなら初音よりも上かもしれない。


「な、なんでいきなりそんな冗談を・・・?」


「・・・わからないの?」


「え?」


「そういえば今日は白雪さんがいないのね」


「あ、ああ・・・」


「いつも白雪さんといるイメージだったのだけれど、そうでもないのね」


「・・・・・・」


 な、なんなんだこの嫌味な言い方は・・・


「何か怒ってるのか・・・?」


「別に、怒ることなんて何もないでしょう」


「まあ、それもそうか・・・」


「っ・・・あなたって本当に鈍感なのね、白雪さんが怒る理由もわかる気がするわ」


「は、はあ!?」


 今の話の流れに鈍感も敏感もなかっただろ!


「一体どういう────」


「それよりいいの?あっち、めっちゃ見られてるけれど?」


「え?」


 月愛が教室の入り口の方を向いたので俺をそっちを向くと俺のことを殺気を出しながら凝視している初音がいた。


「お、俺、ちょっと行ってくる!」


 俺は絶対に初音が俺の浮気を疑っているだろうと思い誤解を時にいった。


「・・・鈍感」

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