第217話総明の思考

「・・・・・・」


 俺は今ふと思ったことがある。いや、気持ち悪いことなんだけど・・・滅茶苦茶気持ち悪いことなんだけど・・・初音と俺は性別を間違えている気がする。もし俺が女の子だったら多分働きたいなんて思わなかっただろうし、性別的な問題で初音を強く振り払うことができない。・・・まあ、このままの性別でも力的な問題で言うと振り払えないんだけど・・・それよりも法的な物が大きい。


「ちょっと想像してみるか」


 俺は自分が女の子になった姿を想像───


「おえっ・・・」


 しようと思ったけど一瞬にして吐き気が催してきたので一瞬でやめておく。


「現実逃避しないでおこう・・・」


 とはいえどうやったら初音と霧響から隠れてバイトなんてできるんだ?ちょっと調べてみるか。


`彼女にバレずにバイトする方法`


「さあ、何か出るか・・・?」


 早速出てきたサイトを開いた。そのサイトに書いていたことはこうだ。


 `夜のバイト、居酒屋やファミレスなどなら時間帯も遅いので彼女にバレずにバイトできるかも!`


「・・・・・・」


 そんな訳ないだろ!そんなに監視がぬるいなら俺だってこんなに頭を悩ませてないんだ!何が夜のバイトなら、だ。夜だって監視されてるに決まって──


「・・・ん?」


 そういえば今まで俺は初音に黙って夜に出かけたことはあんまりなかったな。まあでもどこかに発信機的なやつを常時つけられてるなら意味ないんだけど・・・仮に初音が夜は発信機でしか俺のことを監視していないとしたら?


「・・・もしかしたらできるかもしれない」


 まあ隠れてバイトをするにしてもどちみちゴールデンウィークが終わってからだな。ゴールデンウィークは明日で終わりだし・・・


「長かったな」


 本当にたった数日の出来事だったのか疑いたくなるぐらいに色々あったな。


「って言っても霧響はついてくるらしいし、そんなに変わらないのかもしれないけど・・・」


 で、全然浸ることはできなかったけどこの家もやっぱり懐かしいな。


「ちょっと前まではこの部屋でラノベとかを読んで──!」


 やめよう、ラノベのことを思い出すのは・・・霧響が八つ裂きにしたのを思い出す。


「全部はゴールデンウィークが終わってからだ」


 ゴールデンウィークを終えてから色々と始める、よし!


ー???Partー


「はい、依頼を受けたからには必ずやり遂げてみせます、では」


「・・・・・・」


 浮気調査にあんな大金を払う人がいるなんて、よっぽどの重鎮なのか、もしくはその人にとって大事な人だからか、殺人事件よりも大金だったし、でもどれだけ大事と言っても浮気調査にあんなにも大金を払う理由なんてあるのか?


「・・・依頼者の依頼動機まで詮索するのは探偵の部を超えてるか」


 依頼期間の始まりは3日後。

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