第216話初音と霧響の共闘
「うーん・・・」
なんでそーくんはあんなにも働きたがるんだろ、普通はむしろ働きたくなんてないはずなんだけどなあ・・・
「お金なんて稼ぐ必要ないんだけどなあ・・・」
私が出すし、お金全然困ってないし。むしろそーくんのこと養ってあげたいし。
「なんでそーくんは全然わかってくれないんだろー」
さっきわかったふうになってたけど適当に流しただけだと思うし・・・いっそそーくんに短い間だけ働いてみてもらって働くことの辛さって言うのを感じて貰えば良いのかな・・・
「そうすればそーくんも二度と働きたいなんて思わなくなるだろうし、さらに私無しじゃ生きられなくなるかなあ」
私の最終的な目的としてはそーくんが私なしじゃ生きられなくなること。そんなの薬漬けにすれば一瞬で叶うけど私的には積極的に、気持ち的にそうなって欲しいからそれは`今の所`しないと決めている。
「まあそれをしてもらうにしてもまだまだ先でもいっかなあ」
とりあえずゴールデンウィークが終わったら色々と`始まる`んだし・・・
「先にそれを楽しみにしておかないとね♪」
「・・・ん?」
私がリビングでソファーに座っていると霧響ちゃんが私の目の前に立っていた。
「どうしたの?」
「・・すぐ・・・しょう・・・」
「え?」
「今すぐお兄様を止めましょう!お兄様が働くなんてそんなのダメです!」
「そうだよね!私も今それをずっと考えてたの」
そうだ、今回に関しては私と霧響ちゃんは同じ考えだから味方になれるんだ。
「なんでお兄様は働きたがるのでしょう」
「・・・わからない」
「とりあえずなんとかお兄様を説得しないとこのままではお兄様が汚い社会の渦に飲み込まれてしまいます・・・」
霧響ちゃんがガクガク震えている。でもその気持ちもわからなくはない。なんなら私だって震えたいぐらいの気持ち・・・あんな清廉潔白なそーくんがもし社会のせいで汚れてしまったら────
「あーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
「きゃーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
私と霧響ちゃんは1分弱の間叫んだ。
「い、一旦落ち着きましょう・・・」
「そ、そうだね・・・」
私と霧響ちゃんは一旦落ち着くことにした。そう、落ち着くことは大事。よくよく考えてみればまだそーくんが汚れてしまったわけじゃないんだし・・・
「で、では、どうやってお兄様を働かせないかを考えましょう・・・」
「う、うん・・・」
そしてまずここは将来姉となるものの務めとして私から案を提案することにした。
「いっそのことそーくんを一生監禁するのは?」
「・・・ありですね」
「だよね」
「監禁しておけばお兄様は部屋の外に出られないですが人間は陽の光を浴びないとあまり元気が出ないと言いますし、お兄様の元気と引き換えにはなってしまいますが・・・」
「それもそーくんのためだよ・・・」
「そうですね・・・」
こうしてそーくん働かせない会議は簡潔に終結した。とは言っても実行はまだ先になるだろうからとりあえず`今は`このぐらいで済ませているだけっていうのを私も霧響ちゃんも理解していた。
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