第213話霧響の恨みと願い
「お兄様!・・・あれ、白雪さんはどうされたんですか?てっきり一緒にいるのだと`覚悟`していたのですが・・・」
「ああ、初音はなんか「そーくんに胸の部分を触られた貴重な服だから厳重に保管してくる!本当なら一瞬も離れたくないけどちょっと待っててね!」とかって言って今リビングで何かしてると思う」
「っ!」
そういえばそうですね・・・服ならお兄様に触られたという痕跡も残りますし指紋まで取れますし、その時の握力や指の動きによってはもっと──ああ!いっそ私も胸の部分の皮を剥いで・・・いや、もうあれから数日経って体を何回も洗ってしまいっていますし意味はないでしょう。お兄様に胸を揉んでもらうことで頭がいっぱいになってしまいそれだけで達成感という毒に満たされてしまいました・・・でも白雪さんはその達成の先も冷静に・・・
「やっぱり優秀さでは負けていますね・・・」
「いや、今の話に優秀さなんて感じられるところあったか?」
「・・・はあ」
これだからお兄様は・・・まあ自分自身の価値に気づくのは中々難しいものがありますし、仕方ないですね。それより白雪さんがいない今のうちに本題に入っておきましょう・・・
「お兄様!お願いがあります」
「な、なんだ?そんな改まって・・・」
「服の上からで良いので私の胸を揉んでください!」
「無理だ」
は、はやいです・・・
「な、なんでですか!?」
「俺には妹の胸を揉みたいと思う趣味もなければ触ってみたいなんていう風にも思う趣味はない」
結局そこですね・・・私に`妹`なんていう呪いがある限りお兄様は私のことを恋愛対象としてみてくれない・・・かと言って私が来世に望みをかけたとしても最低でも15年待たなければいけません。そして、そんなに待てるわけもありません。本当にもし`運命`なんていうものがあるのなら私は運命を恨みます。そして兄弟は結婚できないなんていうなんの生産性も生まない法律を作った人も恨みます。
「お兄様は洗脳されているんです」
「な、何にだ?」
「古い考えの人間にです」
私はお兄様の両肩を掴む。
「兄弟だからと言って恋愛をしてはいけないなんていうのは昔の人間の考えなんです!」
「いや、霧響は恋人とかじゃなくて家族として大事──」
「では家族として大事でなくてもいいので私のことを恋愛対象として見てください」
「か、家族───」
今回は押す!お兄様は押しに弱い!!
「少しの間だけでいいので!私のことを恋愛対象と見てください!恋愛対象じゃなくても血縁関係でなければ何でもいいです!」
「す、少しの間・・・」
お兄様は少しの間考え込んだ。でも私にはその果てにでる答えがわかっていた。
「わかった、本当に少しの間なんだな?」
「はい❤︎」
お兄様は`少し`とか`ちょっと`とか簡単そうな言葉を付け加えるだけで割と色々のことを受け入れてくれたりします。それは昔からです。まあとはいえこれだけじゃ15年の思考は外れないでしょうが、これで少しでも妹フィルターが外れてくれたら嬉しいなという願いをもとに・・・
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