第212話初音は胸を揉ませる

「なっ、なななななんのつもりだっ・・・!」


「どう?これがさっきそーくんが`なんか`で片付けた胸だよ?」


 嘘だろ?まさかそれを言うためだけに自分の胸を触らせたのか?もっと自分の体を大事にしろと声を大にして言いたいけどそんなことを言うとまた誤魔化してるとか言われるんだろうからなにも言わないでおこう。


「わ、わかったから手を離してくれ」


「嫌だ」


「何でだよ!?」


「そーくんにはさっき言った言葉の重みを理解してもらわないと今後も困るからしばらくはこのままにしてもらうよ?もう二度と`なんか`なんて言わせないために、ね?」


 だあらそんなに根を持たないでほしい・・・


「あー!ずるいです!理由をつけてお兄様にお胸を触ってもらうなんて!私だって触ってほしいです!!」


「それは妹の範疇を超えてるからやめようね?霧響ちゃん」


 初音は冷徹な声で言う。こんなに怒ってるのは俺のせいなのか?っていうか霧響はちょっと前にも無理やり触らせてきたくせに何を言ってるんだ・・・まあそんなこと初音の前で言えるわけもないんだけど・・・


「な、なあ、なんかとか言ったのは悪かったからやめてくれないか?」


 平静を装ってはいるけど自分から胸を揉むのと強制的に揉まされるのとでは意味もニュアンスも変わってくる。中学生の時は正直女の子の胸を揉んでみたいなんて思ったこともあったけどいざ実際に揉んでみるとこんなに地獄ならいっそ夢を夢のままにしておきたかった・・・


「・・・言ったこと・・・ね?」


「え?」


「さっき言ったこと本当なんだよね?」


 さっき言ったこと・・・?ああ、俺が大きさを気にしないってやつかな。


「ああ、本当だ」


「・・・そうだよねっ!胸の大きさなんて関係ないよね!」


 初音は喜んだ。俺が胸で人を判断すると思われてたなら心外だな。初音はゆっくりと俺の手を離してくれて霧響はいつの間にかいなくなっていた。


ー霧響Partー


「・・・・・・」


 どうしましょう、私が確実に白雪さんに勝てているところといえば胸の大きさぐらい──いいえ!これは勝ち負けじゃないんです!その時点で私はおかしいんでした。恋愛ごとは勝ち負けじゃなくて想いによってできているもの。それを勝ち負けだなんてどうかしてました・・・白雪さんが本気でお兄様との婚約を考えていると知って少し焦っていたのかもしれません。


「それにしても・・・羨ましいですっ!!お兄様にあんなにお胸を触っていただけるなんて・・・羨ましいです!!」


 私は自分の部屋のベッドの上でバタバタする。


「確かに私も先日お風呂で触っていただきました・・・それも生で!」


 ですがやっぱり何か羨ましいものがありました!・・・そういえばさっきお兄様は白雪さんの胸からあまり目を離していなかったような気がします。


「・・・私の場合は裸だったからなかなかお兄様に見てもらえなかったのでしょうか」


 なら服を着た状態でならお兄様は私の胸を見てくださるかもしれません!そうと決まればすぐにお兄様の元へ!!

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