第211話胸の大小と恋人と妹
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
なんか俺の答えを待ってるみたいな空気になってるけど正直全く状況がわからない。こんなことならちょっと話の内容を聞いてから話に割り込むんだった・・・まあとりあえず胸が大きいのと小さいのどっちが良いのかって話だったよな・・・
「あ、あの、因みになんだけど──」
俺が質問しようとしたら初音が笑顔で威圧してきた。
「大きいのと小さいのどっちがいいの?ただそれを答えるだけで良いんだよ?」
もちろん怖い方の笑顔で・・・その顔で言われると絶対にただそれを答えるだけでは終わりそうにないな。答えによっては俺はどうにかなってしまうんだろう。っていうかこんな短時間にこんなに思考を回せるようになった俺ってなかなかすごいのかもしれない。初音といたら考えさせられることばかりだからか?
「大きい────」
`ギロッ`
俺が大きいと言っただけで初音がものすごい殺気を放ってこっちを見てきた。そして反対に霧響は猫のように丸い目になった。なるほど、そういうことか。なら・・・
「小さい────」
`シュンッ
`
俺が小さいと言っただけで今度は霧響が刺すような視線で俺の方を見てきた。そして反対に初音は和むような穏やかな目になっている。
「・・・・・・」
なるほど、つまりこれは・・・`初音と霧響どっちを敵にするかを選択しろ`ってことか・・・何なんだその鬼畜な問題は。初音と結愛とかだったら初音とは正式に恋人だから瞬時に決められるけど恋人と妹はさすがに問題が鬼畜すぎる。仕方ない、ここは正直に答えよう。
「大きさは関係なくて俺は形が大事だと思う」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
俺が本当の自分の意見を伝えた。んだけど・・・
「誤魔化したね・・・」
「ですね・・・」
「ま、待て!違う、俺は本当に大きさなんかよりも──」
俺は弁明を図ろうとしたつもりだったんだけど、どうやら地雷を踏んでしまったらしい。
「大きさ、`なんか`?」
「えっ・・・」
「大きさ`なんか`ってなに?`なんか`って」
「あっ、いや、そういう意味じゃな───」
「胸の大きさで悩んでる子もいるんだよ?それなのに`なんか`で片付けちゃうなんてデリカシーの欠片もないってわかってる?」
「ご、ごめんなさい・・・」
本当にそういうつもりで言ったわけじゃないんだけど相手からしたらそう取られてもおかしくない。ここは素直に謝ろう。
「ごめんじゃ済まないよ」
「・・・え?」
確かにちょっと言葉選びを間違えたけどそんなに怒るほどのことなの───
`むにゅ`
「えっ・・・」
初音がいきなり俺の右手を自分の胸に押し当てていた。
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