第201話総明の健康
「・・・今霧響ちゃんと話してたの?」
「え、ま、まあ、ちょ、ちょっとだけ・・・」
「ふーん」
初音は両手で持っている料理を俺の前に持ってきた。料理を作ってくれたのはありがたいけど両手が塞がってるからご飯を食べることができないな。
「ご飯食べられないから一瞬でいいから手錠を外してくれないか?」
本当ならもうずっと外して欲しいけどそんなことを言って日には逆上されてしまうかもしれないからここは小さい願いに賭けてみよう。
「だーめ、それにご飯は食べれるよ?私があーんしてあげるから♪」
「えっ、この量のご飯全部か?っていうかなんでおかゆなんだ、俺は別に病人だからベッドの上にいるわけじゃないんだ」
まあ、なんか主食とは別に味噌汁もあるけど主食がおかゆなんて完全に病人のそれだろ・・・
「そーくんには健康な体でいてほしいからね、だからはい、これ」
そう言って俺の前に青汁を差し出してきた。
「ま、待て何をするつもりだ?」
「これを、そーくんに飲ませるの」
「か、勘弁してくれ、苦いものは苦手なんだ・・・」
野菜生活とか青汁とかそういう類の健康食料的なやつでよく苦いやつがあるけど苦いやつなんて好むほうがどうかしてる。苦いっていう時に苦しいっていう字が入ってるのになんでそれを好んで飲むやつがいるんだ・・・
「っていうか初音だって俺が苦いもの苦手だって知ってるだろ!」
「もちろんだよ何当たり前のこと言ってるの?」
かなりの早口で返されてしまった。
「な、なら!そんなものを飲ませないでくれ」
「だーめ、これも健康のためなんだから!」
「や、やめてくれ・・・」
俺はすぐに手で口元を防御しようとするも手錠のせいで防御なんてできない。
「っ・・・!」
「手錠があるから無駄だよ、はい、ゴックンしようねー、そーくん❤︎」
そして初音は俺の口元に無理やり青汁を飲ませた。
「ん”ん”、ん”・・・」
俺は口に含んだ状態でなんとか持ち堪えたが・・・
「もう、好き嫌いはだめだ、よっ♪」
初音は俺の首の後ろを手で刺激した。すると俺の体が自動的に口の中に入っている青汁を強制的に喉に通した。
「ん”ーーーーーーー!!!!!」
ま、まずい、やっぱりこんなものを好き好んで飲んでいる人は言っちゃ悪いが味覚がおかしい。絶対に病院に行ったほうがいい・・・
「ゴホッゴホッ」
ドロドロしてる上に滑らかなところもあって口全体に苦味が広がる・・・
「ま、まずい・・・」
なんとか飲み込むことに成功した。
「よく頑張ったねー、よしよし」
初音は赤ちゃんを宥めるように俺の頭を撫でた。だ、誰のせいでこんなことになっていると思ってるんだ・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます