第200話妹を愛して死ぬラノベ
それにしても妹物のラノベは今まで極力読んでこなかったのにな・・・何が悲しくて今までせっかく避けてきた妹もののラノベを妹本人に読まれないといけないんだろう。
『単刀直入に言おう、俺は妹が好きだ』
「・・・は!?いきなり何言ってるんだよ霧響!」
「お兄様こそ何を動揺していらっしゃるんですか?これは音読ですよ?」
「あっ・・・」
そうだった・・・そうだったけど、それにしたってなんかなあ・・・
『毎日妹とキスをする想像や妹の洗濯物を見て喜んだりもしている』
なんなんだこれは、本当にラノベの主人公のセリフなのか?っていうかこんなラノベ本当に存在するのか?だいぶラインギリギリのところだろ。編集者さんは何を考えてこんな内容の本を出版してしまったんだ?
『お兄ちゃんっ!』
『ああ、我が愛する妹よ・・・』
本当にタイトル通り『妹が可愛すぎて死んで転生してそれでも妹を愛してしまい最終的には妹と結ばれる異世界転生』なんて結末になんてなるのか?
『ああ、妹が可愛すぎて・・・死、ぬ・・・」
『俺は妹が可愛すぎて心臓発作を起こした』
「は?」
普通心臓発作とかになったなら感動とか心配とか悪い奴がそんな状態になったのならちょっと最低だけど喜んだりするもんだ。だけど、申し訳ないけどこの主人公に関してはバカとしか言いようがない。タイトルの可愛すぎて死ぬって比喩表現じゃなくて本当に死因は`可愛すぎるから`なのか・・・
『お兄ちゃん!大丈夫!?』
『い、妹よ・・・あ、愛しているぞ・・・」
『そして俺は息絶えた』
「・・・・・・」
本当にそのまま死ぬのか。
『お兄ちゃん、大丈夫、私もすぐそっちに`逝く`からね・・・』
『そして私はお兄ちゃんの死体でできる限りのことを満たしてからお兄ちゃんの後を追うことにした』
し、死体でできる限りのことを満たすってなんだ?っていうかお兄ちゃんの後を追うことにしたって・・・まさか、自殺したのか!?嘘だろ!?
『そして色々とあって異世界転生後も兄弟として生を受け、色々とあって最愛の妹と結ばれることになった・・・完』
「・・・え、終わり?」
っていうかなんで霧響は涙目になってるんだ?
「む、結ばれてよかったですね・・・」
「いや、待て待て」
これがラノベ?嘘だろ?もしこんな内容のやつがあったら炎上でもしてそうなもんだけど炎上してないのか?
「本当にそれで終わりなのか?」
「はい・・・まあでも無事に結ばれたのならよかったですよね」
無事に結ばれるも何もそもそもこのラノベは1番大事なところを色々とあってとか言って省略している。その色々の部分が見せ場じゃないのか!
「ちょっと今ので感激してしまったので私はこれで失礼します・・・」
と、霧響は俺の部屋から静かに出ていった。
「・・・俺の感性はおかしくないはずだ────」
「そーくん、お待たせー」
「っ・・・!」
そしてとうとう初音が料理を持ってこの部屋に入ってきた。
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